久しぶりに夢を見ました
蚊帳の穴むすびむすびて九月哉
【作者】永井荷風
久しぶりに夢をみました。
技術講習会の大恩人で、私を可愛がってくれた故二葉一成先生の夢でした。
二葉先生主催の何かの集まりだろうか、主宰されていた檀香会(篆刻の会)でもないようである。
歴代の大印技術講習会の講師の先生方が座っておられます。
嘗ての私の先生(講師)が手招きをして座るように席を開けてくれました。
何の会だろうか?
と思ったところで、目覚めました。
68年間続いてきた技術講習会です。
あちらこちらに空いた蚊帳の穴のように、ほころびが目立つようになってきました。
この春から夏にかけては、コロナを背負った蚊がその穴から侵入してきて、休講状態が続いていましたが、先日のzoom講習会が好評に開催できてほっとしています。
振り返ってみると、二葉先生の偉大さを思わずにはいれません。
私が講師になりたての頃、講師不足の事態に陥り困り果てていた時に、先生は、「三田村君、講習会は去る者は追わず、来る者は拒まずの姿勢が一番だ」と言われました。
そのことをフト思い出した目覚めとなりました。
今また、講師不足で頭を抱えていた私に先生からの啓示かも知れません。


9月になりました。
9日から国際雑貨エキスポ関西に出展します。
「はんこやが作ったユニークなTシャツ!」というコンセプトです。
何故Tシャツなのかは、追って説明させて頂きます。
写真は、大阪市魅力発信事業の小冊子です。
気分を転換して頑張ります!
posted: 2020年 9月 1日zoom講習会
九月の教室蝉がじーんと別れにくる
【作者】穴井 太
明日から9月、今日は月末です。
コロナ禍により長らく休講しておりました技術講習会が、なかなか再開の目途が立たないので、昨日思い切ってzoom講習会を開催いたしました。
開催までの過程にはいろいろあり、技術委員長と現状と今後の在り方を含めて、夜遅くまで話をしました。
当日は、出欠をとっていなかったのですが、多数の講習生が参加してくれました。
何よりも嬉しかったのは、半年間お会いできていなかった講習生の元気な顔が画面を通してですが、拝見できたということです。
私を含めた講師は、通常の講習会の倍疲れたようでしたが、講習生には好評で、9月講習もzoom講習会となりました。
一人ひとりの講習生の課題作品を丁寧に図説講評と添削をしていただいたお二人のI講師のお蔭です。
この場を、お借りしましてお礼申し上げます。
デジタルに弱い私ですが、今の若い人にとって、既に当たり前の事となっていて、講習生の方から、こうしよう、ああしたらと意見が出ました。
何を言っているのかがよくわかりかねましたが、講習生はみんな理解できたみたいで、世代間格差を感じてしまいました。
挫けずに9月も頑張ります。
posted: 2020年 8月 31日提言:「継承現場の疲弊が、業界を弱体化させてきた根本問題である」
提言:「継承現場の疲弊が、業界を弱体化させてきた根本問題である」
今朝、毎日新聞の「シリーズ疫病と人間」という記事に目が留まりました。
慶応の小熊教授の教育に関する論考でした。
記事の内容をお話するつもりはありませんが、サブタイトルに今の気持ちが共鳴しました。
「教育放置3か月。下方への格差が広がる」

現在、リモートワークの邪魔者扱いをされていると大宣伝中の印章にも同様の事が言えます。
印章業界の技術の在り方への誤謬とその継承現場の疲弊は、このコロナ禍によりさらに進行しています。
技術の在り方への誤謬については、この際置いておきます。
継承現場の疲弊が、業界を弱体化させてきた根本問題であると、私はここで提言しておきたいと思います。
業界の技術競技会や大印展への出品者の減少の原因の一つは、技術講習会や研究会の数が全国的に減少したことにあります。
また、少なくなった講習会の指導者(講師)の成り手がいません。
嘗ては、競技会での大臣賞やグランプリ1位の名人名工と呼ばれた人が、名誉を以ってその任についていました。
名人名工と言われる人が上手く教えたかどうかは別ですが、そのくらい人がたくさんいた時代であります。
長らく現場に携わってきた私から見ても、継承という観点無き人もおられたと思います。
現在、そういう人に限定するととても難しく、地域を越境しないと講師がいない状態です。
しかし、全国には現役の一級技能士はまだ多くおられます。
ネットショップを見ても、その肩書に「一級技能士の店」が実に多く目につきます。
一級技能士なら、印刀の作り方や印刀を使用して荒彫りして、仕上げ刀で仕上げるまでの過程の基本技術を教授出来ないことはありません。
それが出来ないというなら、その方は一級技能士の名を語る偽物です。
何故、一級技能士が講師について、後継を指導しないのでしょうか?
不思議でなりません。
一級の人が次の人が一級を取れるように指導していけば、次へ伝える役割を果たしていけば、技能検定が国により廃止検討されることも無かったと私は強く思います。
しかしながら、継承現場は講師不足で疲弊しています。
講師がいないから講習生が集まらないのは自然の理であります。
また、講習会を運営する裏方さんもいないという問題もあります。
それが、現場の実情です。
そして、コロナ禍です。
私は大阪府印章業協同組合の講師をさせて頂いているのですが、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった3月から、既に半年間の休講状態が続いています。
毎日新聞のサブタイトルを借りるなら、
「講習放置6か月。技能検定が危ない」です。
その間、何もしないという状態ではなく、通信添削講座を私が提起して、他の講師の先生にお願いしていますが、運営は私がしています。
学校教育ではオンライン教育も取り入れており、その弊害も小熊教授は述べられていますが、それさえ導入しておりません。
こんな還暦の私でさえ、お知り合いの大学教授のご好意でzoom講義に参加させて頂いているのに、業界人は技術講習会に誰も取り入れようとはしていません。
大阪では、この30日に実験的にやってみようと技術委員長と共に取り組むつもりです。
全国ではどうでしょうか?
誰か実態を押さえている人がいるのでしょうか!
技能検定二級の受検対策講座は東京で3回取り組まれています。
近畿でも9月初旬にようやく1回目が実施されると聞いていますが、この対策講座は、通常の技術講習会からの受検者にプラスを想定しての数字出しです。
今、技術講習会が危ないのです。
休講中なのです。
従来の一級受検者への対策対応が出来ないでいます。
そういう現状を理解されているのでしょうか?
ここで、「継承現場の疲弊が、業界を弱体化させてきた根本問題である」という提言への対策として三つの提案をさせて頂きます。
- 全国の継承現場の実態把握
全国に技術講習会や研究会、講座等がどのぐらいあり、講師と講習生、運営者の数を把握すること
- 講習カリキュラムについて
講師のいないところ、指導カリキュラムを考えられない所への『印章教科書』を利用しての援助、やりたくても予算がないところへの補助
- 検定対策への補修、講座を都道府県任せにするのではなく、できないところへ全国から援助すること
posted: 2020年 8月 23日
誰も行かない、誰も何もしない夏
家はみな杖にしら髪の墓参
【作者】松尾芭蕉

お盆のお墓参りは、父方と母方の日にちを分けてのお参りとしました。
コロナと熱中症の両方を心配しながらの墓参となりました。
両親がはいっているお墓は、歩いて行ける距離ですが、母方は電車に乗り、バスに乗り換えて行かねばなりません。
母方の伯母さんから「今年は、危ないからお墓にいかなくていいよ。」と言ってもらいましたが、毎年の墓参なので、やはり気になります。
その墓地には、親戚のお墓もあり、みなさん気遣って下さっていました。
ところが、みなさん墓終い(はかじまい)をされたと伯母さんに聞きました。
それなら、高齢な叔母さんらはお参りしないし、他の誰もお参りしないことになります。
誰も行かない・・・というところに、引っかかり、例年のごとく墓参いたしました。
新型コロナウイルスの感染拡大により、この夏はいろんなものが中止になりました。
お盆の帰省、夏の甲子園大会、夏フェス、夏コミ・・・
中止になれば、誰も行かない・・・何も残らない・・・
昨夜は五山の送り火をテレビより手を合わせました。
火床の数は減らされましたが、それでもLEDライトの点灯よりも、ご先祖様の魂が帰られる点火に心が動かされました。
灯りが点けばよいとするのではなく、その心を大切にするのが日本的霊性の在り方だと思います。
印章も、押せればよいから、押すのが面倒だ、形がデジタルで残ればよい・・・まるでLEDライトの大文字ですね。
五山の送り火も中止にするのは簡単です。
伝統を引き継ぐには知恵がいります。
知恵のみでなく、経験の継承が大切です。
何もしない
誰も行かない
誰もしない
では、経験が継承されません。
さあ、お盆が明けました。
技術講習会の通信添削の郵便が届き始まました。
頑張ります!
技術継承も何もしない誰もしないなら簡単ですが、それでは墓終い同様になります。
お盆最中に大競技会の結果返送作業をされていた東京の技術委員のみなさま、ご苦労様でした。
火床を減らしても、その灯火を絶やさないようにしたいものです。
誰かがしないとね。
受け継ぎ伝えるために、貴方は何かしていますか?
posted: 2020年 8月 17日
当たり前の話ですが、印章はアナログです
盂蘭盆会 遠きゆかりと ふし拝む
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
明日よりお盆休みのところも多いと思います。
当店もそうさせて頂きます。
コロナで今までに等閑にしてきたことが露呈してきて、10日の五十日を挟んでも9日間のお休みをされているところが多いように思います。
等閑にしてきたこととは、印章はアナログであるということです。
大量消費大量生産の時代に印章はアナログであるという事を忘れて、その生産方法をデジタルに頼ってきました。
その当時は、これに規範を与えるなら、それも時代の趨勢であると思っていました。
技術講習会にPC型彫刻機を持ち込み、その操作方法を教授せよとの理事会よりの圧力もありました。
しかしながら、それに呼応する講習生はいなく、上手くそれをかわしつつ、印稿指導という形にして上を誤魔化してきました。
技術講習会という継承現場にさえ、デジタルでの生産方式が入りつつありました。
市場では、どんどんとオモチャのようなハンコが乱売され、印章の価値を低下させることに一役買ったのが、デジタルでの生産方式です。分速で販売されるネット市場において、分速で生産されるハンコは、職人が手間暇かけて作製するアナログ式印章とは、大きな隔たりを世間に露呈していきました。
しかし、業界はそこに線引きをせずに、印章を販売するという一点で公益とすると、それらを許容して仲間に引き入れました。
デジタルによる大量生産型の合理的経営姿勢が評価され、アナログ型の製作現場は無視され、印章技術の継承者は質量ともに低下の一途を辿っています。
そこに新型コロナがやってきたのです。
東日本大震災での津波被害に対して河川をコンクリートで固める護岸工事に反対したのは、この春亡くなられたC.W.ニコルさんでした。
森林を伐採し続けた国の在り方に根本的にモノを言ったのは、日本に帰化した彼でありました。
根本的なところに目を向けないと、このwithコロナ社会は乗り越えられないと私も思います。
嘘に塗り固められた商業主義的なる在り方が印章の価値を低下させてきたことは、事実です。
はっきりとデジタル式生産方法と訣別する時は、今であります。
印章はアナログだから意味を持つのです。
目先を変えた、デジタルで加工されたキャラクター入りハンコを文化としてほめたたえる業界には、もう未来などあり得ないと思います。
あまりにもデジタルによる生産方法に慣れてしまった業界人からすると、今更何をいっているのかと失笑されることと思いますが、いままで目をつむり失笑してきたことが本来大切な印章の本義であったということを忘れないで欲しいと思います。
https://www.tfm.co.jp/forest/index.php?itemid=164907
posted: 2020年 8月 12日
継承の規範
昨日、長崎平和式典に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ(中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表が代読)をテレビで聞いていて、「私たちは、核実験に反対する規範を擁護しなければなりません。」という一文に考えさせられました。
今年で75回を迎える広島や長崎の平和式典であります。
被爆者約13万6000人で最少となり、平均83.31歳と高齢化が進んでいます。
しかしながら、被爆継承をしてきた多くの先人の意志を継いで、「核実験に反対する規範」を確立してきています。
印章業界にこの規範なるものは存在するのでしょうか。
嘗ては、何度も話してきました『印章憲章』がそうでありました。
しかし、それを実践、具現化されてきたのでしょうか。
私には、絵に描いた餅、長文スローガン倒れとしか認識されません。
『印章憲章』を掲げている(公社)全日本印章業協会の会員さえ、それを規範として認識されていない方が多いように思います。
デジタルガバメント問題に対応する業界の姿勢がそれを如実に物語っているのではないでしょうか。
デジタルとアナログは対立するもので、共存共栄するものではないと思います。
IT業界と印章業界、これから伸びる業界はどちらでしょう。
アナログの陣地を無くして、それをデジタル化していくから商売になります。
総務省は1000億の経済効果を予測しています。
デジタルの陣地にアナログを残すはずなどありません。
印影をデジタル化するという話もあります。
どういう印影をデジタル化するのでしょうか。
フォントを丸や四角の中に加工したものをデジタル化するのでしょうか?
そこに印章の本義は残るのでしょうか?
ペーパに捺印しているパソコン印章やフォント印章には、同型印の危険性をはらみ、それに規範を示すことが出来なかった印章業界にデジタルの中に規範を作り、それを順守できるでしょうか?
デジタル推進側にはそれは関係なく、今までの慣習としての印影は使用しやすいので「電子印鑑」という言葉を電子認証のなかに、意図的に残していますが、そうする必要性もなく、デジタル化が進行していく中で、その規範無き状況は消し去られていく事と推察致します。
デジタル推進派は、アナログであるはずの印章業界に宣戦布告をしていますが、印章業界は握手を差し出しています。
何故、面と向かって対応されないのでしょうか?
アナログの陣地を無くしてデジタル化して商売をもくろんでいる人達に握手を差し出して何を得ようとしているのかなと疑問を持ちます。
彼らは、このコロナ禍においても着実に会議をこなし、政治と法律の整備を進めて来春を目指しています。
その一方で、技術の継承現場はコロナ禍で疲弊の一途を辿っています。
国連事務総長のメッセージで、はたと気づいたのですが、技術継承の規範無き業界に、今求められているのは「継承の規範」なのかも知れません。
http://www.inshou.or.jp/inshou/about/inshoukensyo.html
posted: 2020年 8月 10日
原爆の日に思う
原爆の日の洗面に顔浸けて
【作者】平畑静塔
コロナウイルスの感染拡大が広がるなか、国会を開こうとしない首相やコロナ対策としてうがい薬を府民に推奨し混乱をまねいた首長がいる国に明日はないのかなと思っていたら、今日の広島市長の平和宣言に、共鳴共感致しました。
きちんとした考えを持つ人がいる国をそう簡単に諦めてはいけないと考え直させられました。
いつも、8月6日はこの平和宣言を聞いてからとしていますので、ほんの少し遅い出勤となります。
コロナ禍で、ともすれば自分中心の考え方に陥る昨今ですが、広島市長はこのように述べられました。
「今、私たちは、新型コロナウイルスという人類に対する新たな脅威に立ち向かい、踠(もが)いていますが、この脅威は、悲惨な過去の経験を反面教師にすることで乗り越えられるのではないでしょうか。
およそ100年前に流行したスペイン風邪は、第一次世界大戦中で敵対する国家間での「連帯」が叶(かな)わなかったため、数千万人の犠牲者を出し、世界中を恐怖に陥(おとしい)れました。その後、国家主義の台頭もあって、第二次世界大戦へと突入し、原爆投下へと繫(つな)がりました。
こうした過去の苦い経験を決して繰り返してはなりません。そのために、私たち市民社会は、自国第一主義に拠(よ)ることなく、「連帯」して脅威に立ち向かわなければなりません。」
政治も個人も同じだと思います。
自分だけ助かろうという思いから出発すると、全体が見えなくなります。
全体が見えなくなって、自分だけが助かることはあり得ません。
フェイスブックを見ていたら、東京でのコロナウイルス感染が拡大していく中、3回目の2級技能検定対策講座が実施されたと知らせてくれた仲間がいました。
換気をしながら、消毒、マスク、フェイスシールドをした講師やスタッフが、まさに命がけでの講座となったようです。
飲み会を目的にした寄合が多かった業界ですが、このような環境のなかでも実施されるという事は、それだけ技能検定の業界における重要性を理解されていると私は思います。
ここで、自分は技能士だからもうよいとか、自分の商売には関係ないとする意識が多ければ、東京組合さんのように既に3回も実施されることはないだろうと思います。
国会は開催されていませんが、着実にデジタルガバメントによる押印廃止の方向は、来春に向けて会議をこなされています。
今、何が大切なのかをよく理解して行動しないと、コロナがあっても事は水面下で進行しています。
一方、自店第一主義の面々も水面下でデジタル推進派と共に次の一手を模索されているとの情報もあります。(デジタル認証は、なんせ1000億の経済効果らしいので・・・)
一つにならないどころか、分散してしまっている状況かなとも思いますが、きちんとした考えを持つ人がこの業界にまだいる限り、私も頑張りたいと思います。
posted: 2020年 8月 6日