春に気づいた小さな闘志

菫ほどな 小さき人に 生まれたし
【作者】 夏目漱石

春風や 闘志いだきて 丘に立つ
【作者】 高浜虚子

春の俳句
少し逆さまのように感じる二句です。
「令和」の新元号に商魂たくましく頑張っているハンコ屋さんを揶揄したようなお話をして、申し訳ないという反省がありつつ、反面やはり自分は少し違うなと気づき始めたのかもしれない何か・・・それを構築していこうという闘志も感じています。

揶揄や批判は簡単ですが、何かを示していくことは、またそれを自分の中に留めずに、広く啓発し共に歩んでいくことはとても難しい事だと思います。
まずは、素直にお客様に向かうこと
自分を研ぎ澄ませて、印面に向かうこと
納得がいく仕事を常に目指すこと
納得したものをお客様にお渡しすること
そうすれば、自ずと道は切り開けるかな・・・。

調べてみると、「令」の字は神のお告げを受け、神意に従うこととありました。
今日も頑張ります。

posted: 2019年 4月 3日

手間暇かけた仕事

実店舗のはんこ屋さんが減ってきています。
今年に入り、当店の近所のはんこ屋さんが閉店されてから、この春すぐに必要な人の来店が多くなりました。
以前は、そういう人は、閉店された近所のはんこ屋さんにご案内させて頂いていたのですが、
閉店以降困っています。
早くに合わせると、安いに合わせると、負の連鎖に陥ります。
手間暇かけた仕事には、日にちが必要です。
「何分でできますか?」には、お応えすることが出来ません。
何故なら、手間暇かけた仕事や「おもてなし」が出来ずに、手間暇と「姿のうつくしい印章」を
求めている自らのお客様を裏切ることとなるからです。
その両方をすべきだという考え方の人もおられるでしょう。
少し前によく聞いた言葉・・・
・・・「お客さんを逃がさない」・・・
少し違うと思うと同時に、そんな器用なことをするなら、そのエネルギーを
表面化していない、潜在的な自らのお客様のために使いたいと思います。
また、そのように二足の草鞋をはくと、本来のお客様を逃すこととなります。
大臣が言われていたような三文判に近いものを販売する度に
印章の価値を貶める結果を生み出すこととなります。

posted: 2019年 3月 27日

良い判とバッタもん

毎朝、はんこの神様と言われた関野香雲先生のお軸に向かい
「判が上手く彫れますように。」と朝のご挨拶を日課としています。
最近の気づきなのですが、少し違うなと感じて改めております。
「判が上手く彫れますように。」
ではなく・・・
「良い判が彫れますように。」に変えました。
何が違うのでしょうか?
そう
視点が違うのです。
「判が上手く彫れますように。」というのは、自分視点です。
自分の観点で、自分の技に対する自己満足です。
それに対して、
「良い判が彫れますように。」というのは、
使用者視点です。
使用者にとって良い判、良い印章
それを目指さなければなりません。

国会でデジタルファースト法案(今後、デジタル手続き法案となるらしい)の中で、印章に関する記述が取り除かれることとなったと業界政治連盟より報告がありました。
ほっと一安心ではなく、これを機に良い判とは何かの規範作りと発信を業界を挙げてして頂きたいと強く思います。

朝ドラ『まんぷく』では、萬平さんのつくった「まんぷくラーメン」のバッタもん(偽物の商品)が出回り、悪質業者をみんなの力で駆逐しました。
印章業界もバッタもんで溢れています。
それがバッタもんであるという認識すらなく、開き直っていると、デジタルファースト法案の次の大きな問題に対峙することとなると思います。

明日から、良い仕事(印章においては、良い判)を目指す全国の職人の技の競技会である
第30回技能グランプリが神戸にて開催されます。
印章木口彫刻作業において、お手伝いに2泊3日で行ってきます。
嘗て選手として6回も参加させて頂けた恩返しができることをとても嬉しく、全国の良い判を目指す職人達の熱気に触れられることをとても楽しみにしています。
その間、文章を書けないと思います。
それでは、また来週・・・。

posted: 2019年 2月 28日

日本といえば?

昨日の夕刊に折り込まれていた新聞紙大の両面広告に驚きました。
内容は、丹後一宮元伊勢の籠神社「天橋立・葵祭」を宣伝していました。
その文章の力強さに感銘しましたので、一部ご紹介致します。

【日本を知りたい、日本人へ】
時代は日本ブーム。
世界中から年間3000万人もの人々が日本を訪れています。
東洋の島国の特異な文化に世界は夢中です。

日本といえば?と聞かれたら、
あなたは何と答えますか?
ボーッと生きているわけではないけれど、
国境を越えた交流が進むにつれて
各地にあった固有の文化は薄れていく。
私たちは知らぬ間に、日本の文化を知らない日本人に
なってはいないでしょうか。

・・・・後略・・・

我々の生活は利便性高いもの
合理的でスピーディーに
世界基準を目指し、超えて
世界と共通のものになってきています。
それは、とても良いことだろうけれども
方や、失われて行っているものも多くあり、
それがとても日本的なものであった
という事を後に気づいても
もう遅いのかもしれません。

印章も隣の大陸から政治制度と共に入ってきましたが、
日本の「おしで」の思想という基盤のもと今や日本の文化の一部です。
日本の印章を失くそうと画策している日本人がいます。
「おしで」という日本的土壌までなくそうとしているのかな?
そうすると、世界と共通になるかもしれないが
それはもう日本ではありません。

日本といえば?と聞かれたら、
あなたは何と答えますか?

このぐらいの情報発信を印章業界もすべき時です。

posted: 2019年 2月 27日

ヘラクレスの選択

「寒いね」と話しかければ
「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
(俵万智、『サラダ記念日』より)

自らの技術は、自らの努力により、自らの中に貯めていくものです。
しかし、それだけでは精魂込めた仕事というのは出来ないと思います。
自らの技術をどこに向けるか、そのベクトルが一番大切なことであります。

手慣れた仕事をし続けていると、悩み工夫することがなくなり、技術に対しての厭きが来ます。
お客様からお名前を頂き、それをパソコンのフォントで羅列していき、彫刻機に任せて、それをお渡ししてもお客様がわからない、何も言わないからそれでよしという仕事を続けていると、技術に関しての麻痺が起こってきます。
このぐらいの仕事でいいか・・・
パソコン画面のフォント・・・手直ししないと、同型印の危険性があると分かっていても、段々とそれをしなくなる。
パソコン画面の大きな円のなかにあるフォントの配列が、当たり前になって来る。
初心の想いは何処へ・・・

毎日、お客様から頂いた名前という文字と格闘し、如何にレイアウトすれば美しくなるのかという思考錯誤を繰り返す、書いては消してを繰り返した印稿(完成デザイン)、その仕事の中に必然として想いが入り込む・・・精魂込めるというのは、そういうことではないか!
それが連綿と繋がり、大きな文化となる。

実用や普段使いは文化ではないとする考え方が横行する。
芸術の域という言葉があるが、芸術と言われなければ、文化でないのか?
文化とは、積み重なった日常から生まれると、この頃強く考えます。
それは、伝える方向と対象があるからだとも考えます。

「寒いね」と答えてくれる人がいる
「うつくしいね」と言ってくれる使用者がいる

posted: 2019年 2月 15日

寒の水

ひとり居や 映るものなき 寒の水
前田普羅

昨日は、いつもの二日酔いのダウンではなく、疲れからのグロッキーでした。
週初めのご挨拶もできずに申し訳ございませんでした。
日曜日の技能検定の大阪会場は、ここ20年くらいの間では一番多い受検者数でした。
受検者も大変疲れたと思いますが、それまでの段取りや朝早くから夜遅くまでの採点や集計に時間が掛かりました。
気疲れと体力的な消耗は、年を重ねると、辛いものがあります。
昨夕、他の会場に携わっている人とメールでやり取りをしたのですが、事態は深刻だと思います。
全国的には、国からの指示であります100名の受検者には到底届かない受検者数です。
みなさんは、わりと楽観的に捉えているようですが、100名に達しなかったという現実と、今後休止対象職種になってしまうであろう事をもっと真剣に考えて具体的なる行動に移さないと、口を開けてまっているだけでは、技能検定すらできない業界という悲しき事態に直面していくことだろうと推測できます。
技術がもう駄目なのかというと、現場の様相は実はその逆かなと思います。
何故か分かりませんが、今まで技術など見向きもしなかった大手のハンコ屋さんが、そこに目を向ける傾向があります。
昨日も地方都市の某フランチャイズ組織に属している人から大阪の講習会に見学に行きたいというお電話を頂きました。
フォント使用の同型印の危険性高き商品やデザインとは名ばかりのパソコンのコピペや機能を利用した商品を扱っていたのでは、印章販売という商売が成り立たなくなってきている。
消費者は、印章業者がパソコンを扱う以上にパソコンで情報を得ているということだと私は推察しています。
きちんとした印章を作製しようとすると、パソコンフォントに飼いならされるのではなく、それをも利用したり活用したりしようとすると、きちんとした技術を身に着けなければ出来ないことであるということが、漸く浸透し始めたのかなとも考えられます。
国家検定である技能検定を続けていくためにも、まず来年に実施される彫刻ゴム印の技能検定を多くの受検者で成功させるためにも、その受検者を作る具体的なあらゆる手段を創造していくことだと思います。
その業界の公益的なる熱意が伝われば、事は少しでも前向きになれると思います。
全印協ホームページには、その講習会の募集を掲載していただきました。
振るってのご参加を心よりお待ち申しております。
http://www.inshou.or.jp/
古くから寒の時期に汲まれた「寒の水」は腐らないといわれてきました。
技術もそうやすやすと腐りません。
今から追い上げます。
必ず追い上げます。

posted: 2019年 1月 29日

魂の在る仕事

昨夜EテレのETV特集 ふたりの道行き「志村ふくみと石牟礼道子の“沖宮”」を再放送で見ました。
お二人の魂のある仕事に感銘を受けると同時に、人による仕事には魂が入るのだと改めて再認識しました。
石牟礼さんの作品「沖宮」という能のなかで、雨乞いの生けにえとなった少女
が纏う衣装の緋の色の糸の一本でもよいから自分が染めたものが入っていてほしいという姿勢・・・・・それこそがモノを作る人の向き合う態度であり、だからこそ魂が入る仕事ができるのだと思います。

http://www4.nhk.or.jp/etv21c/x/2019-01-19/31/11130/2259646/?fbclid=IwAR0e8O66_QGQEC63QTIkEK_O-V24rb4LGF1JW5zdprNiy2rzdBrz46QHERU

posted: 2019年 1月 24日

1 2 3 4 5 >