技術はお客様に必ず伝わります

今日の連続テレビ小説『なつぞら』から
なつが産休に入る日に、部下である後輩の作品チェックをしていて、涙の流し方にアニメーターの個性が出ていないということを指摘しました。
すると後輩は、「いろいろ考えて書くと効率が悪いし、子どもは、そこまでみていない。わからない。」と答えていました。

私も若い頃、大手のはんこ屋さんに言われました。
「三田村君、技術、技術と頑張るのは良いけど、お客さんには分からないよ。」

『なつぞら』に戻ります。
そんな後輩に、なつは言いました。
「それなら、アニメを辞めた方が良いよ。私たち(アニメーター)は、子どもの想像力と闘っている。それを乗り越えた時、初めて子ども達に夢と希望を与えることができる。子どもを信用できないなら、それができないということ。」

お客様に、印章の技術が分からないと、お客様をバカにしたり、絵や文様でごまかしたり、パソコンの機能を利用してヘンテコな印章をお渡ししているようでは、お客様に感動を与えることは出来ません。
絵や文様、パソコン機能を悪と捉えているのではなく、文字とそのレイアウトの機微を伝えることを止めて、それに逃げていたのでは、きちんとした印章は、お客様には伝わりません。
技術に誇りを持ち、情熱を傾け、最後まで手を抜かない仕事をすれば、必ずお客様に職人の技術と想いは伝わると信じてやみません。

印章の土台は、技術です。
印章業者の信用も技術にあります。

posted: 2019年 8月 21日

共鳴共感の定石

毎日新聞朝刊の一面に「奪われた輝き」と題した京アニ放火事件の記事がありました。


この記事を読んでいて思ったのですが、私が共鳴共感することには定石があるのです。
凄く苦労して自分の技を磨く(脱下職)→使用者や鑑賞者にそれを精魂込めて伝えると同時に後進を育てる→そのシステム作りをする→そこで学んだことを更にお客様に還元していく
肝心なことは、技を自分だけのものにしないということ
技を自分だけのものや楽しみにしておくと、それで終息してしまう
それは、その業の滅びを表します。

京アニのアニメ職人(アニメーター)に合掌!

posted: 2019年 8月 17日

微調整ができる能力

昨日の休日出勤後に、散髪に行きました。
理髪師さんが、シャンプーも終え髪を整え直して最後の段階に入ります。
サッとタオルをかけて、鋏を握り直して、耳の当たりをチョキチョキと・・・
ほんの少しだけ微調整の仕上げをしてくれます。
理髪師さんのこだわりというか、最後まで手を抜かない職人魂を感じました。
ほんの少しの時間で、ほんの少しの手間です。
それで、凄い満足感を味わえます。
次も当然、この床屋さんに行こうと思います。
床屋さんが減ってきています。
流行りの美容院のようなオシャレな床屋さんは、苦手です。
以前そのような所へ行ったこともあるのですが、髪を染めましょうとか、髪の毛のお手入れがどうのこうの・・・とお金ばかりかかり、髪を切り整えるという基本作業が実に下手くそ・・・髭剃りなどは、満足に出来ていません。
サッパリとしないし、満足度が低いのです。

印章店もここにリピーターを増やすポイントの一つがあります。
最後まで手を抜かない。
補刀という、床屋さんで言う最後の仕上げがあります。
下職時代は、その補刀をほとんどしませんでした。
一番の理由は、納期に間に合わない。
そして、朱肉をつけると印面が汚れるという理由からです。
今は、その補刀に力を入れます。
印面は、墨を落としてお渡しするので、何回も押しては仕上げ刀で微調整を繰り返します。
納得いくまで微調整を致します。
長い工程をかけて製作した印章が、最後に魂が吹き込まれる瞬間のような気がします。
それをしているだけで、リピーターが増えた事は事実です。
後輩に最近の仕事の印影を見せてみなさいと言うと、印影をとっていませんという答えが返ってくる事があります。
おそらく、補刀をしていないのでしょう。
お客様が逃げていきますよ!

写真は、暑いのでお客様用に久しぶりに用意した塩飴です。

posted: 2019年 8月 5日

暑っ!!!

人間に火星近づく暑さかな
【作者】萩原朔太郎

暑き故ものをきちんと並べをる
【作者】細見綾子

季語に「暑き(暑し)」があったとは知らなかった。
朔太郎が言うように、火星が暑いのかどうかも知らないが、とてつもなく暑い日が続いております。
しかし、それにより横着になったり、だらけていたりしては、よけいに暑さを助長します。

「きちんとしている」って何事においても大切ですね。
暑いからだらけるのは、ある意味当たり前です。
周りがそうだから・・・・
きちんとしなくても
少しくらい手を抜いても
誰もわからない
勿論、暑いので水分補給と休憩は大切です。

しかし、周りが手を抜いているから
周りがきちんとしていないから
と、世の職人がみんな思えば、この世はどうなるだろう。
きちんと建てたはずのビルディングが暑さにより崩壊、
明石海峡大橋や瀬戸大橋がグニャっと曲がり、
高速道路が抜け落ちたり
新築の家のお風呂の底が抜けてしまう・・・
それは分かり易い手抜き・・・きちんとしていない

しかし、印章はその手抜きが消費者にわかりにくい
きちんとした印章を持たなくとも
怪我をするわけでも
命が無くなる事もないのかもしれない。
今は尚更・・・ヘンテコな印章が玩具のような印章が世にはびこっている
それだけでなく、フォント使用の規範もない世の中
役所からの印章の彫刻文字の真偽を問う印章アドバイザーのお役目をしていると、自分勝手な解釈で誤字になったり、文字そのものを違う文字で彫っていたりの印章によく出会います。
そんな状況を見ていると、
きちんとした印章なんて
もうないのかもしれません。
政府の方もそういう現状をご存じなのかな
国民が印章に価値を見出していない・・・
そういう周りだから
手を抜いても
お客様は、わからない
ダラダラだらけた印章と・・・・
どんどん価値が低下していく印章

暑き故ものをきちんと並べをる
暑き故
その「故」が大事です。
そういう姿勢が私はすきです。
皆さま、暑き故おからだご自愛くださいませ。

posted: 2019年 8月 1日

没デザイン

蝉時雨一分の狂ひなきノギス
【作者】 辻田克巳

東日本の冷夏を伝えるニュースに反し、蒸し暑い朝を迎えた大阪です。
ノギスは一分の狂いなく常に正確な数字を示してくれます。
人は、蝉時雨のような集中力を欠かせるような邪魔に対して間違ったり、やる気を失くしたりします。
ノギスの正確さを誇っている句ではなく、蝉時雨が聞こえ入って来る工場で、暑さや騒音に邪魔されながらも、ノギスを使用して正確な仕事をしている職人さんの集中力にスポットがあたっています。

連休の二日間、仕事量調整の為に休日出勤していました。
彫刻も少しは進みましたが、主には完成デザインを考えていました。
なかなか気に入ったレイアウトや文字の形、線の美しさが出ずに、鉛筆で書いては消し、ロットリングペンで書いてはホワイトで修正していました。


少し疲れました。
疲れると集中力の衰えを感じます。
仕事の数としては、あまり進みませんでした。
そこで妥協すると、結局ノギスに使われる人となります。
正確な数字に振り回されるより、自らの感性を信じ、自惚れることなく、納得いく仕事に向かい合います。

お休みがありませんでしたが、今週は健診や法事、やんごとなき寄合や技術講習会もあります。
疲れていますが、お客様をお待たせしています。
少しでも前に進めます。

※写真は全て没デザインです。

posted: 2019年 7月 16日

精魂込めた彫刻の原点

久しぶりのお寺のはんこの彫刻を賜りました。
山号院号寺号印。


個人の実印は、一代限りのものですが、お寺のはんこは、何代もの住職に渡り使用されるものです。
とにかく深く彫れと教えられました。
通常の会社の角印より大きなもので、いくら深く彫ってもなかなか深くは感じられません。
手が痛くなりますが、それでもボリボリと・・・。
折角の御朱印ブームなのに、お寺もゴム印を使用されるところが多くなってきているとお聞きしています。
以前に比べると、お寺のご僧侶のお考えも時勢に合わせられているのか、彫刻依頼は少なくなってきています。
しかし、この様にご依頼いただくと、精魂込めて彫刻するという原点に立ち返ることが出来ます。
上手下手よりも、まずは丁寧にきちんとした印章を納めたいという想いをより強いものにしてくれます。

posted: 2019年 6月 25日

「菓子木型職人」市原吉博さんの哲学と発信方法

業界の技術の捉え方や技能検定に対する姿勢に触れると、時々嫌になる事が多いご時世になってきています。
印章という商品の土台は技術であります。
揺るがない事実であります。

そんなこんなを考えていると、昨日のNHKの朝のニュースで高松の菓子木型の職人である市原吉博さんの仕事を紹介されていました。
私の理想形の職人の在り方だと思い、ご紹介させて頂きます。
木型の職人さんは、3Dの彫刻機が出現してからの減少数は著しいものです。
各地の技能士会からドンドンと姿を消していかれています。
菓子木型となると、市原さん自身のホームページでも述べられているように「絶滅危機にある菓子木型」とあり、職人は全国で6~7人のみとのことです。

大印技術講習会の恩師である故二葉先生が、「手彫りをしていたら、技術を勉強していたら、間もなくそういう本物を作製できる人は、極度に減る時期がくる。そうなったら技術を勉強してきた者の天下になるで。」とよく冗談半分に言われていたことがありました。
それが、最近では劣悪な業界環境下で現実味を帯びてきています。
全体的に下がると、もはや天下どころの騒ぎではなく、市原さんのように本物の情報発信環境を工夫し整えたものが天下なのかもしれないなぁ~と考えます。

みなさんは、どう考えますか?

https://www.kashikigata.com/

posted: 2019年 6月 13日

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