Q14. 実印に男性用、女性用ってあるの?

Q.昔のはんこ屋さんが一年で一番忙しい時期が3月~4月にかけてでありました。
最近は違ってきているようですね。 それも価値観の多様化かなとも思いますが、昨年の当店は、予想外の7月が山場でありました。 嘗てのようには、時節も販売方法も様相が変わってきたように感じます。 社会の変化です。
その社会の変化に対して、はんこ屋経営者は、一生懸命に追いつこうとして奮闘されます。
そういう一生懸命のはんこ屋さんでも、男性実印や女性実印という表記の仕方をされているのを見て、いつも不思議に感じていました。
それより以前は、紳士実印と婦人実印。 もっと前は、実印は男が持つものとし、女性の実印を副印とか家庭印という表記をされていました。
男女平等が叫ばれて久しく、女性の社会的進出が著しく、また結婚されない女性も多い中、どうして実印を男性と女性に分けるのでしょうか? 不思議でたまりません。

A.ちなみに当店は、フルネームの場合は印面の大きさが15ミリ丸、姓名の名の方のみで彫刻を希望される方は、13,5ミリをお勧めしております。
女性実印は、男性よりも一回り小さい13,5ミリまるでというお話をよく聞きますが、13,5ミリ丸のなかに、フルネームを彫刻すると、大変せせこましく感じます。
嘗ては、婦人実印は12ミリでした。 そんな中に細かくは彫れますが、訂正印でも彫れるので、そのくらい普通の職人であれば、朝飯前ですが、お客様がご使用になられると、朱肉がつまりやすく、ぼて~っとした朱の塊のような、醜い印影となります。 実用と実用美の観点から、大きさにあった文字数から割り出すべきことかなと私は思います。
慣例や慣習とまでいかないのに、それを社会の変容に合わせ切れていない現実を印章業界に感じます。 いつまでも嘗てのはんこ屋さんにとっての良き時代ではありません。
改めるところは革新し、守るところは、その印章の本義にあると思います。 販売方法からの思考を止めて、社会とお客様目線を中心に思考することが必要かなともいます。

<消費者の皆様に、ワンポイントアドバイス!> 実印購入や贈り物にとお考えの方、フルネームの印面の大きさは、男女問わず、15ミリ丸が一番だと思います。 それより大きな16,5ミリ丸や18ミリ丸をお買い求めいただくご予算があるなら、印材をワンランクあげて頂いた方が賢明かと思います。

posted: 2017年 1月 18日

Q13.良いハンコを作ってくれるハンコ屋さんの基準は?

質問:「良いハンコが欲しいのですが、何が良いハンコでどこの店が技術のあるお店か分かりません?」

解答:昨年より新聞の取材やラジオ出演のなかで、繰り返してお話ししてきたことがあります。

それは唯一つだけの印章を作成するためには、パソコンソフトの文字は弊害であり、同一印が出来る可能性が大きいということです。

パソコンソフトの文字は、現在様々な書体や種類の文字が販売普及しております。

その文字は様々な場面で、多種多様な印刷物や看板等に使用されています。

それは、パソコンの技術を利用して加工されて社会に役にたっていると思います。

ただ印章を作成する折に、それを使用するとどうなるかは、頭の中で容易にシュミレーションできることと思います。

同じメーカーのソフトの文字なら、A店のハンコ屋さんで作成したものとB店作成したものが同一印になる可能性があるという事です。

可能性があるという事は、恐ろしい事なのです。

パソコン技術の堪能なる店主は、そのソフトを加工し、変化させて使用しているとお話しされることでしょう。

また、そういう風にソフトを使用しているので、早く安価にお客さんに提供できるという企業努力をされていると述べられることでしょう。

このソフトの文字は、実は職人の知恵と経験によりできあがったもので、へんに加工の手をいれたり動かしバランスを変えると、他の文字と合わなくなります。

そのまま使用してこそ、上手く使えるモノなのです。

パソコンソフトの文字使用=同形印が出来る危険を声を上げて述べてきましたが、一番の問題は、同じよう特色のないハンコしか出来ないという事です。

特色やオリジナル性をこれに求めると、素人考えが横行します。

それは、オリジナルな文字という事でなく、そこに絵やキャラクターを入れたり、絵の中にパソコン技術を駆使してソフトの文字をはめ込んで、文字自体をくちゃくちゃにしてしまったりします。

本当のオリジナルとは、印章と文字の基本を利用した技術力であり、パソコン技術の応用ではないという事です。

他所のハンコ屋さんと違うオリジナルを志向してこそお客様に違いを分かりやすく提示できるのではないでしょうか

それには印章技術と文字の勉強を普段からされているお店へ行かれることが一番だとお勧めいたします。・・・・解答に代えて。

posted: 2015年 1月 21日

Q12,自分で文字をデザインして印鑑登録してはダメですか?

質問:デザインの仕事をしているのですが、どうもハンコの書体に満足できません。

自分でデザインしたものをハンコ屋さんに彫ってもらって印鑑登録してはいけませんか?

解答:今までは、デザインのお仕事をされている人でも、ハンコにそれだけの価値を求められる方は多くはありませんでした。

嘗ては新聞や雑誌の通販やテレビショッピングで、今はネットショップで宣伝されている縁起の良い?いいハンコ?・・・輪郭円の中に太いミミズがのたうちまわっているようなものという書体、印相体や吉相体と呼ばれる開運書体?が一般的な書体で、そこにデザイン性や文字の美はありません。

ハンコなど、捺せればよい・・・そこにデザイン性や美を求めるものではない

かといって、通常フォントにある可読性の高すぎる(読みやすい)書体・・・楷書や行書・・・を印鑑登録するには少しの抵抗がある。

仕方がないので、ハンコには自分のポリシーである美は持ち込まないというデザインナーさんがほとんどでした。

閉鎖的で不思議なハンコの書体にデザイナーが口をはさむ余地が今まではありませんでした。

ところがハンコの書体(篆書体や印相体)もフォントになり身近に感じられると、そのデザイン性に疑問を感じても何らおかしいことではありません。

その辺の勉強もせずに、フォントをそのまま使用して、機械で彫刻している業者が多いことは事実であり、デザイン関係者にも周知の事実であります。

色々な文字のデザインを日常されているデザイナーの方が、あの不思議な美とは縁遠い書体ばかりのハンコ屋さんのハンコを自分の実印にしたくないと感じられて当然であります。

ただそういうハンコ屋さんばかりでなく、日常的に文字に対しての研鑽をつみ自らの経験を活かし、オリジナルの印章開発に懸命なハンコ屋さんもあります。

ただ、オリジナルの印章といっても、猫や犬の形に文字を閉じ込めたデザインや、文字とは関係ないイラストや文様をオリジナルと呼んだりしているのではなく、とりわけ篆書の研究をされているハンコ屋さんの美とデザイナーさん自身の美とのシンパシーが繋がることと信じます。

餅は餅屋と言います。

ハンコ屋さんもまだまだとは言いにくいのですが、今現在ならデザイナーさんのお眼鏡にかなうハンコ屋さんもあろうかと思います。

 

posted: 2014年 8月 10日

Q11.実印、銀行印、認印を兼用してはいけませんか?

質問:実印、銀行印、認印は兼用してはいけないのでしょうか。

3本もあると、どれがどれだかわからなくなるので、1本にした方が合理的でよいと思います。

それに全て1本にすれば、3本購入する分だけ1本で良い物、例えば象牙の印鑑を持つことが出来ると思うのですが。

 

解答:雑巾で顔を拭い、タオルで床を拭き掃除する人がいないのと同様に、物には用途という概念があります。

暗証番号も一つに統一するとセキュリティーとして良くないことは、お分かりだと思います。

用途とセキュリティー面から、印章は少なくとも実印、銀行印、認印の3顆は、日頃より備えられることが賢明であります。

それぞれの用途について少しだけお話しておきますので、参考にしてください。

《実印》

印鑑届をした印章。印鑑証明を要する文書に限り使用し、他はなるべく押捺しないように注意してください。

《銀行印》

銀行取引に主として用い、実印代用、業務印、その他印鑑証明の不要な重要文書一切に使用します。

《認印》

決裁、承認、指令、あらゆる信憑に使用します。

家庭印や仕事印と区分される方もおられます。

posted: 2014年 5月 8日

Q10、生まれ年による印材との相性はあるのですか?

嘗ては、新聞や週刊誌の広告によくその表みたいなものが載っていました。

例えば、昭和34年(1959年)生まれは、五黄土星で象牙や水晶がよいとかいうものです。

結論から言いますと、印材に相性はなく、各人が好むままに選択すればよいものです。

その広告以前には、もっとひどい印相家(印章を販売して見料代わりとする者)の説に、「銅材、鉄材は業病を患う」「水晶材は肺病になる」「鯱の牙は気がおかしくなる」「鯨の歯は変死する」・・・

銅鉄の印材は、現在ではチタンかなとも思いますが、往古の官印にあったもので、現在は見当たりません。今さらに業病の対象ではありません。

水晶、鯱、鯨は日本牛、ラクト材(樹脂材)やそれに類する物と同様に、印材として排斥するのは常識であります。

先の、広告の表に話を戻しますが、今のネット開運印ショップにもそれに似たような物を引き出して提案されていますが、以前の新聞広告と何らかわらないしろものです。

ショップごとによって違うものもあります。

これは本来五行説に基づくものですが、印材にその説を当てるのはこじつけの迷説と言わざるを得ません。

ちなみに、五行説と物品の正しい関係を解説しておきます。

木性の人・・・植物、陶磁、柘材と水牛

火性の人・・・陶磁、玉石、陶材と柘

土性の人・・・金銀、玉石、象牙

金性の人・・・角牙、金銀、水牛

水性の人・・・植物、角牙、、水牛

人、各々が生まれた月日による説、姓名の音韻による五行相生説などもありますが、何度も言いますが、印材にまでこれを持ちだすのは、迷信も甚だしいと言わねばなりません。

人間が一生を通じて所有し、また接触する物品の数は多種多様で厖大なものです。その物品一つ一つに五行説を応用し、吉凶を判断し、利害損失を考察して後に、その物を使用するとすれば、繁雑なること甚だしく、茫然自失しなければなりません。

あるいは印章は、首と掛替えの重大なる使命を持つということを理由に、水牛をに見立てたり、柘をに、象牙を土や火に当てはめて考えることは、何の根拠もない浅はかな思いつきに過ぎないことです。

それが今も、これだけ科学が発達して、ネットでお買い物のショップの中にも未だに息づいていることが、不思議ともいえますすし、それだけ印章の正道が見失われている由縁でもあります。

 

posted: 2014年 4月 26日

Q9,輪郭を太くすればが欠けないハンコになるのでは?

質問:印面のなかで、一番細い輪郭がよく欠けるので、最初から輪郭を太くしてもらえば強度が増し、欠けないハンコが出来ると思うのですが・・・。

 

解答:

(A1)まずは素材面からの解答です。

柘の素材は細かな細工が効く、大変彫刻しやすい材料なのですが、摩耗しやすい材料でもあります。長年使用していると、どうしても一番細い輪郭を明確に記す為に、押印時に輪郭に力を入れて回転させるように押捺します。

だんだんと輪郭部分の磨耗のみ強くなり、輪郭が欠けるのではなく、摩耗して減ってきます。

印面を見ると、かまぼこ状になっています。

これは、柘材の運命であります。

もう一つ、これは最近の材料でありますが、アクリル樹脂材のハンコです。

多くはその彫刻がドリル式の機械での彫刻ですので、細い輪郭部分が急激な崖のようになっていて、最初から欠けやすくなっています。

また、このアクリル樹脂材はキャラクター入りや和風の文様が施されているので、一見かわいいとかオシャレと思ってしまいがちですが、素材そのものはプリンについているオサジと同類の樹脂です。このプリンのオサジを何度も使い回しするとある時、パリッと折れてしまった経験がないでしょうか。そうです、これも樹脂の運命で、素材そのものが割と早く劣化してしまうのです。

そもそも印章には不適格です。

すごく硬い素材を使用すれば・・・ということで最近よく見かけられる貴石やチタンは、手で彫れない硬さです。職人の手作業をお求めになられる方には、ふさわしくはない素材です。

(A2)次に、文字と輪郭のバランスからの解答です。

印章の印面は大変小さな美の世界で、方寸の美ともよばれています。

そのため、文字の太さに対して輪郭も決定されます。

輪郭部分を太くして、文字部分を極細にする彫り方もあります。

法人印の角印に良くみられる彫刻方法です。

これはこれでバランスが取れているので良いのですが、個人の印章で輪郭太く文字が極細のものは、大正時代から昭和初期に流行った彫り方ですが、最近ではあまり見かけなくなっています。

文字も太く輪郭も太いと大変面白いハンコになってしまい、上記の方寸の美とは程遠いヘンテコな物となります。

また彫刻方法としても、機械彫りではできませんが、輪郭部分に少しの傾斜(土手)を付けて強度を増すことも出来ます。

また、素材の最大円を使用せず、その円より少し小さめの円を輪郭とすることにより外圧を防ぐことも出来ます。この場合、あまり土手をつけすぎると、捺印時に土手部分に朱肉がのり、正確な印影を一定に保つことが出来なくなるので、ほどほどが大切です。

(A3)最後に、思わぬ事故でハンコを破損する事は仕方がありませんが、輪郭部分の破損は不注意でのそれや、印章ケースについている小さな朱肉に無理やりハンコを押しつけて破損するという場合が非常に多くみかけられます。

印章の要は、印面の美しさが第一、次に大切に扱うということです。

安物印、多量乱造の駄印は、いくら格付けや装飾を施して立派に見せようとしても、中身は美のない駄印ですので、大切に扱う気持ちは自然と遠のいて、気が付けば輪郭破損で、それだけなら良いのですが、財産や生命が欠けてしまえばどうなることでしょうか。

 

posted: 2014年 4月 10日

Q8、はんこのデーターがあれば、同一印ができますか?

質問:最近のハンコ屋さんはパソコンでハンコを作成していると聞きました。

たとえ実印や銀行印を紛失しても、データーが残っているので、再度同じものを作成してもらえるので便利だと思います。

手彫りで作業されているハンコ屋さんでは、印影が残っていないと同じものを作成して頂けなく、紛失時に不便だと思うのですが・・・

 

解答:ネットをみていると、最近そのことを売りにしているハンコ屋さんがいるみたいで驚きました。

即ち、名刺の印刷のようにハンコの判下データーを残して、紛失時にそのデーターを使用して彫刻できるので、紛失や破損時に同一印が出来て便利ですよというものです。

ハンコは、そもそも世界に一つあなただけのモノであることにより信用されます。

言葉では証明されないものをその印影が代表して証明してくれる道具であります。

それが簡単に何度も同じものが出来ますとなると、信用できる道具でしょうか?そうではなくなりますね。

例えば、その同一印を作成してくれるハンコ屋さんに他人があなたに成りすまして誰かが作成にいったり、あなたに頼まれてハンコを作成に来たと嘘をついてハンコを作成され悪用されればどうなるでしょうか?

印章は、首とかけがえといいます。

あなたの財産は勿論、生命にまで危険が及ぶことがあります。

このことは、法律でも示されています。

刑法167条、私印偽造、不正使用罪で作成したハンコ屋さんもハンコの使用者も3か月以上5年以下の有期懲役に処されます。

信用できるハンコ屋さんというのは、たとえ同一人物・法人からの依頼であっても、同じ印章は作りませんと断言しているお店です。

融通が利かないぐらいこれを徹底することにより日本の印鑑制度は守られてきています。

だから、ある意味頑固なハンコ屋さんの方が信頼できますね。

posted: 2014年 4月 8日

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