第19章 印章学による印章・・・その2
(2)印顆の形態
遊印を除く実用の印章の形状を検討します。
印顆とは印章の体を言います。即ち印体であり、印材の形状とも言えます。
印顆は印章の体で、印面に彫刻された文字を印肉で押捺したものが印影であります。
刑法上では、印顆に対して、文書上に押捺された印影のみを印章と称していますが、普通は印章は印顆と印影を区分した考えた方が合理的であります。
印顆の姿は千姿万態ですが、本当に用いられているものは、意外と少なく一定であります。
大別すると「刳りもの」と「棒状(のべ)」の二種類です。
会社印、店判、住所印等は刳りでも構わないが、個人印章は棒状が望ましい。
よく自然の状態の牙材や角材、あるいは竹根は、一見風流に感ぜられますが、正印材としては邪道であり、却って印章の風格を損なうものです。
また、頭部に紐や環を通したものも見かけるが、これも印材としては下賤の貧相であります。
これらの材を好む者は、臆病な小心者かけちん坊であることは、意外で少し面白い統計もあります。君子は避けて用いないに限る形状であります。
刳りものの中でも天丸型といわれる会社銀行印型と呼ばれるものがあります。
これは法人銀行印としては構いませんが、社長印、会社実印となると棒状にキャップ付きが風格があり良いでしょう。
印面を顔面とすれば、印顆はその體であります。
字法の誤りのあるものを醜悪な目、耳、鼻、口とすれば、章法(その文字のレイアウト)の誤りは、如何に美しい明眸、紅唇と雖も何らの統一感もなく、バラバラに散在しているようなものであります。
字法、章法も整い、刀法も見事でも、印顆の異形異端なものは、不具廃疾の美人の如きものでありましょう。
この他に、嘗ても流行ったこけし人形の型が今また出現していますし、バット型とか、種々の形の下に印材を付けたもの・・・その意図が低級な需要者を狙っていることがおわかりかとも思いますし、心ある人は求めるはずもないと信じております。軽々しい感じの印顆は重要印章にもちうべきではありません。
たとえ若い女性でも、こけし人形の型式や樹脂材の和風と名乗っているもの、キャラクターものは、その人の常識と人柄を窺がい得るものとなります。
お気を付け下さいませ。
posted: 2014年 5月 14日