第19章 印章学による印章・・・その4

第19章 印章学による印章

(5)会社印・・・その1

リーマンショック以降、会社の倒産はよく聞く話でありますが、設立が急激に少なくなりました。

このところ会社設立が以前よりは増えてきだしたかのように思えます。

会社組織にする段においては、個人商店ではさほど重要でなかった程度の書類にも、いろいろな印章が必要となります。

しかし、印章は金庫や空調機器、コンピューターなどから比べると価格が低いので、慎重に選択することが少ない買い物であります。

印章に関する限り、多くは軽々しく考えられているようです。

極端な例では、2~3店に見積もりのFAXを入れて、安い所に注文をいれたり、更にひどい所は、入札を行ったりしていると聞きます。

印章に関して、一概には言えませんが、価格が安いということは、まずいということです。

印材が粗悪であり、技術も拙劣であります。

価格に選定の基準をおいて低額なモノを求めれば、最低なものを要求するのと変わりません。

まずい印章を持つことは、単にそれを持っているということに止まらず、そのまずさが書類を通して広く社会に広がっていくことになります。

会社の信用上に悪影響を及ぼすだけでなく、必ず何処かで笑われていることでしょう。

無心な会社印、役職印などが意外な注意をひくものです。

見積書、契約書などは相手に様々な感銘を与えるものですが、これに風格、貫録ある印を押捺すれば、それによって内容に充実感を与えるものです。

その結果、信用が増大し、実際の業務内容にも反映し、一層の貫録を備えることとなります。

会社乱立の時代では、粗末な社印でも気づかなかったが、もはやそういう混沌時代は過ぎ去り、稚拙な印章は見苦しく恥ずかしい存在となることでしょう。

これからは気品ある社印が商戦のアイテムとして活躍する時代となるでしょう。

機先を制して立派な印章を整えることが商機を捉え繁栄する条件となることでしょう。

(5)会社印・・・その3

<割印>

割印は契印として用います。

実印、銀行印、認印など、あらゆる印章は全体で一個の形として調和を採れるようにレイアウトされています。

その一点でも欠けると全体の美を損なうようになっております。

それに対して、割印は印影(押し型)が二つに分かれることに機能の本質を置き、レイアウトされています。

以前は何某、何社割印、契印と彫刻することが多かったが、最近は割印、契印の文字は容れないで、唯その名称のみを彫刻いたします。

これは仕切印、または副印として兼用されるようになったためで、差支えのないことです。

しばしば小切手などに銀行印や会社実印(役職印)を使って契印にしておられるのを見かけますが、これは名を割ることで、社名、家名に対して無礼不敬の仕業であり、衰亡を招くと言われる。

姓名を軽んじることは厳に慎まなければなりません。割印は必ず具備するものであります。

(5)会社印・・・その4

<社長印>

社長印は会社を代表する人の印章であり、その会社で最も重要な印章であります。

所轄官庁へ届け出たもののほかに、使用回数の多い小切手、手形などに使用するものとして、他に副印として作るのもかまいません。

社長印には一般的に二つの形式があります。

一、社名まき・・・周囲を社名で取り巻いて、その中に社長印(代表取締役印)と入れます。

二、社名をまかない場合・・・これは社長○×之印、○×社長之印、○×社長、代表取締役○×、とレイアウトします。

社名も社長の姓も入れないで単に社長之印、あるいは代表取締役印と彫ってある物を時折見かけますが、これは極めて軽薄な感じを受け、レディメイド(既製品の延長)式であり、印そのものに何ら権威もなく、品位を示さないので、避けられることが賢明かと思います。

それが登記できるとかできないとかいう問題では、勿論ありません。会社の信用の問題なのです。

社長印の大きさは六分丸(18ミリ丸)が最適であります。

副印としては、5分5厘(16.5ミリ丸)。

これ以上に大きなモノは、大は小を兼ねるというより、会社の常識を疑われます。

印材は、最高品の象牙が良いでしょう。社名まきの場合はなおさら象牙を使用すべきであります。これに次ぐものが、水牛材です。

柘材は社長印として、これほどうらぶれた感じを与えるものはありません。

一見してその内容を見透かされ、不利益この上もありません。

印章選択でケチり、重要な契約を逃したのでは、元も子もありません。

社長印には品格が必要です。

社名まきの社長印で社長の姓が入っていないものは、歴代社長がこれを使用してもかまいません。

しかし社長の更迭と共に社長印を改めることは、捺印の責任という点からも、安全という見地からも賢策と言えます。

 

posted: 2014年 7月 10日