字彫り虫になるな!
萩刈りて風の行方の定まらず
【作者】柚口 満
雨が降るという予報ではないのですが、曇天の空気が傘を持たずに家を出ることを警告しているようでした。
「字彫り虫になるな!」とは、先生、先輩によく言われたことです。
文字を一生懸命彫るのが、はんこ屋職人なので、どこが悪いんや!と、ず~っと思っていました。
最近、その警告が漸く理解できるようになりました。
はんこ屋さんの数が少なくなり、風通しが良くなるのかなという意見もありましたが、職人対商人のような構図が完成してしまい、何やらどこに向いて風が吹いてよいのかという迷いが、それぞれにあるようです。
しかし、印章の土台が技術であり、それが崩壊しかかっていることは確かな事実であります。
技術がないといことは、職人がいないということです。
職人がいない業には、規範はなくなり、制度を維持したくとも、その論拠がなくなり、飾りだけのAI搭載彫刻機(熟練の印章彫刻職人)が、途方もなくこちらを見つめているだけの業?となり果てます。
彫刻機に向かい「字彫り虫になるな!」と老齢の職人が唾をとばして吠えています。
悲しきかな、これが現実ではないかなと思います。
悔い改めよ!と、今更誰が誰に物申すのでしょうか?
今は、自らが悔いなきように、風の行方の定まらない荒野で、全力を出し切るのみなのかも知れません。
間もなく、令和元年度後期技能検定の試験運営担当者会議があります。
これを受けて、試験の段取り、各受験生への案内、12月に入ると講習会への案内運営が待ち構えています。
ゴム印彫刻作業の技能検定が来年初頭に実施され、これにてこの作業の技能検定は終焉を迎えます。
お役目、ご苦労様でした。
