第18章 捺印法と朱肉・・・その3

(4)朱肉の使用法

<朱肉も人柄がわかる>

印章を朱肉の中へグット押し込むようなことは禁物です。

印面に肉面を軽く叩くように数回行い、たえず肉面が中高になるように心がければ、その印影(押し型)は美しく、印肉(朱肉)も永く色褪せることのない美しい色を保ち使用できます。

すり鉢型になった肉池(朱肉の入れ物)を見れば、その人の心がけもわかるし、だらしない捺印ぶりも察せられます。

安物で朱肉がつかなくなって、息をハーハーと吹きかけている様は、醜態の極みです。

年に一~二回は裏返して、小刀の先で一寸練るようにするとよいでしょう。

その折に、埃やその他の不純物が混入しないように注意してください。

容器は上質な漆器が一番です。

香合を肉池(いれもの)に使用しても良いでしょう。

合成樹脂のものは品がなく、どうも軽々しいが、かといって鉄製の物は、朱肉が化学反応を起こして、変色や硬化してしまい、直ぐに使用に耐えれなくなるので注意してください。

「ふた」は少しゆっくりしたものの方がよく、少しガタガタするぐらいを良しとします。

大きさは、15ミリ丸の実印や18ミリ丸の会社実印を捺印するには、直径6センチぐらい、3センチ角以上のモノには、やはり9センチ径以上のモノが良いでしょう。

朱肉の量が多いほどその寿命は永くなりますので、大きい目のモノを使用すると印影も美しく、朱肉も意外と長持するものです。

印章ケースに付属している朱肉の肉池は、出先で朱肉のない時に限って用いるものです。

あまりにも直径が小さく、どうしても上手く朱肉が付着しないから、捺印してもむらの多い拙い印影となります。

出先で重要な捺印をしなければならない折には、指先に朱肉を付けて、印面に叩くようにして使用するのが良いでしょう。

当店に輪郭が破損したので、彫り代えてほしいとご来店されるお客様の多くは、常にこの印章ケースの肉池をご使用になっておられます。

朱の色には、赤口と黄口がありますが、そう大差はなく、各人の好みで使用すればよいでしょうが、大体雅印や遊印は赤口を好み、実用印章は黄口が多いようです。

我が国は、紫が往来禁色であったように、中国では朱が禁色でありました。

朱は高貴を表徴する色であります。

殺風景な書類に一点の朱の印影は、信を示す重さと共に気品漂う光彩であります。

よき印章とよき朱肉は、その人柄を表現するものです。

posted: 2014年 5月 12日