フォント文字の印章は印章?

二月商戦眉目秀麗のピエロ得て
【作者】ねじめ正也

フォントには、フォントとしての役割があります。
フォントの文字書体を作製するのに、フォント職人が知恵と経験を絞りだし、それこそ文字と格闘しながら作り出すというお話は以前したことがあります。


そのように苦労して生み出されたフォントの文字を使用して、このようにパソコンに向かい文字を放つことが可能となります。
それは、共通の文字が人に伝えるという役割を果たすということです。
印刷や多用するゴム印なども、そういう役割をもったフォントを活用します。

しかし、印章にそれを多用することは間違いです。
私も嘗ては、フォントを使用して、それを文字レイアウトの妙を熟知している職人が使用するなら、仕事を迅速に合理化できるものであると捉えていましたし、技術講習会でもフォントを文字構成で修正しながら仕事では使用しても構わないという話もしたように記憶しています。
今、印章は冬眠時代に入りかけています。
あらゆるところで、その使用が狭められてきています。
その原因のひとつは、フォントを野放しに、規範をきちんと提言できなかった業界の姿勢にあると私は考えます。
それを受けて、印章の信頼性とその価値が低落した結果だと思います。
市場は、今、何をしてもよい野放し状態・・・パソコンを使用してできる判下なら、パソコン連動式彫刻機で何を彫っても無法状態・・・それらが大きな顔をして「はんこ屋でござる」と闊歩している状態です。
それは、デザイン能力のない者にチラシやウエッブデザインを依頼するのと同様、さらに言うなら、設計図を書けない人にビルやホテル、マンションの建設をお願いするのと同じこととなります。

印相体や開運印章にも物を言えなかった業界ですが、そんな次元を通り越した印章の存在意義をかけた危機的、末期的状況で、技能検定すら維持できない業界になり果ててしまっています。
ここにこそ、今、物を申さなければならないと私は強く思います。

何度も言いますが、フォントその物が悪者であるのではなく、それを印章に使用していることが、自らの首を絞めることとなってしまっている大きな要因であるということです。

あなたのはんこは、機械で彫ってあることよりも、怖いのはフォントで作成された印章では、ありませんか?
作られたところにお尋ねください。
印章を捺印する機会が減った現在、安価なフォント印章を何本も作成するより、きちんとした印章を一本誂えましょう!

少し難しいお話・・・
フォントの文字の形や名人が作成する印章の文字の形は、それぞれの職人自身の形であります。
その文字の骨格を使用して、他人がいくら修正補正して丸という輪郭の中に上手く当てはめたように見えても、それは決して唯一無二の職人の仕事とは、程遠いということです。
一本の線は、人それぞれ個性があり、その人独自の線となります。
綺麗な線を描くためには、その人自身の手で表現された骨格を持つべきで、フォント職人や名人の骨格を使用しても、他人の褌(フォントや名人の文字)で勝負に臨むのと同じこととなります。
少し、難しいかな・・・
この解説は、またの機会に。
今日はここまで。

posted: 2020年 2月 6日