「手仕上げ」印章の職人とは?

 

春風や闘志いだきて丘に立つ
【作者】高浜虚子

今日は、20度近くまで気温が上がるとか、春分の日を前にして、暖かい日差しに感謝です。
春が早く稼働しているようですね。

明治以降の日本の印章業史を振り返ってみると、制度による確立から、様々なところから触手が伸びてきて、印章という商品の在り方を左右してきました。
易者さんが見料の上乗せとして印章を下職に彫らせて始まった印相印、開運印がブームになった時がありました。
また、霊感商法の商材としても使われてきました。
それぞれ問題は大いにあったのでしょうが、印章を重要視していたというプラスな一面もありました。
ところが、印章の彫刻方法の区分として、その作業工程を手彫り・手仕上げ・機械彫刻と業界規定が行われてから、その言葉が一人歩きしだしました。
そして、パソコンフォントを使用しても「手仕上げ」印章と言う名の曖昧な印章が、市場を闊歩しだし、パソコン印章やフォント印章が大量に生産されています。
その影響力が印章の価値を貶めています。
印相印や霊感商法の時代には、まだその仕事が職人の所に回ってきていました。
今は、手仕上げと言う名の機械彫刻が職人仕事を罵倒し職を奪っています。

大手ネット通販のサイトが、初めの意志は「地方の疲弊した小さな商店の良品に光をあて、全国展開を」的なコンセプトから売れればよい式に、あるいは負けたらあかん主義が芽生え始め、その意志を変容させてきました。
それと、「手仕上げ」印章というのはよく似たところがるように思います。
技能検定2級に合格し、2級技能士の資格を名乗れば、手仕上げができると国家検定で保証されています。
それがなくても商売は勿論できますが、「手仕上げ」をネット上の看板にしている所には、技能士がいないという不思議さがあります。
今年に入り、その技能士を誕生させる技能検定が印章職種において廃止されるという検討が厚労省により行われました。
令和3年度後期技能検定において全国で120名の受検者が集まらなくては、廃止にしますよと言われています。
これだけ、「手仕上げ」印章の看板が多く上がり、その看板の下にパソコン印章やフォント印章が大量に販売されているのですから、多くの2級技能士が誕生してもおかしくはありません。
それに反して、技能検定受検者は減少の一途をたどっています。

世に偽物は沢山あります。
偽物でも良いという意見もあるでしょう。
世にはいろんな意見があります。
しかし、時としてその偽物やまがい物が、本物の価値を低落させ、職人仕事を奪う場合がります。
それに関しては、きちんとした職人に仕事を取り戻そうと闘志がみなぎります。
そういう人もいるのです。
いろんな意見はいろんな人からうまれるのですね。

明日は、春分の日。
大印展の課題決定の審査日です。
新型コロナウイルス伝染拡大の影響で、審査員が一所に集まり協議して課題を決定することは難しく、遠隔によりファックス通信で決定されます。
明日は、お店待機でじっくりと課題を検討させて頂きます。
このような時に、組合事務所での裏方作業をして頂く技術委員のみなさま、ご苦労様です。
明日は、手洗い消毒を忘れずに頑張ってください。

写真は春のお花を家内がかってきてくれたものです。

posted: 2020年 3月 19日