信証の具を作らせて頂くとは

木瓜咲くや漱石拙を守るべく
【作者】夏目漱石

世渡りの上手い人がいます。
強いモノには靡き、甘い顔をしてすり寄り、その恩恵を乞おうとします。
案外、それが上手く行く時もあるようです。
強きモノが変われば、顔色を変えて、姿を変えて・・・カメレオンの様な人がいます。
「拙を守る」とは、目先の利に走らず不器用でも愚直に生きることをいいますが、ともすると甘言ににじり寄ってしまう自分に気が付き、『草枕』の一節を思い浮かべるのかもしれません。
「世間には拙を守るという人がある。この人が来世生れ変るときっと木瓜(ぼけ)になる。余も木瓜になりたい」
私も木瓜になりたいので、拙を守ろうとするのかもしれません。
デジタル化の時流のなかで、印章を商っていると、そういう事を考えてしまいます。
印章は、それを商う商売人のためにあるのではなく、またそれを彫刻する技術者のためにあるのではなく、それを使用する人の為にあります。
ですので、「唯一無二」を守るとは、拙を守ることに繋がることだと私は自負したい。
印章は金儲けのための商材でもなく、芸術品でもなく、握っていたら幸せになるという護符でもなく、それを使用する人の「信証の具」であります。

明日は、休日ですが島根県からの予約のお客様が来られます。
今日は三連休の中日、少し早く店を閉めて、家内と久しぶりの食事に出かけたいと考えています。

posted: 2020年 3月 21日