提言:「継承現場の疲弊が、業界を弱体化させてきた根本問題である」

提言:「継承現場の疲弊が、業界を弱体化させてきた根本問題である」

 

今朝、毎日新聞の「シリーズ疫病と人間」という記事に目が留まりました。

慶応の小熊教授の教育に関する論考でした。

記事の内容をお話するつもりはありませんが、サブタイトルに今の気持ちが共鳴しました。

「教育放置3か月。下方への格差が広がる」

現在、リモートワークの邪魔者扱いをされていると大宣伝中の印章にも同様の事が言えます。

印章業界の技術の在り方への誤謬とその継承現場の疲弊は、このコロナ禍によりさらに進行しています。

技術の在り方への誤謬については、この際置いておきます。

継承現場の疲弊が、業界を弱体化させてきた根本問題であると、私はここで提言しておきたいと思います。

業界の技術競技会や大印展への出品者の減少の原因の一つは、技術講習会や研究会の数が全国的に減少したことにあります。

また、少なくなった講習会の指導者(講師)の成り手がいません。

嘗ては、競技会での大臣賞やグランプリ1位の名人名工と呼ばれた人が、名誉を以ってその任についていました。

名人名工と言われる人が上手く教えたかどうかは別ですが、そのくらい人がたくさんいた時代であります。

長らく現場に携わってきた私から見ても、継承という観点無き人もおられたと思います。

現在、そういう人に限定するととても難しく、地域を越境しないと講師がいない状態です。

しかし、全国には現役の一級技能士はまだ多くおられます。

ネットショップを見ても、その肩書に「一級技能士の店」が実に多く目につきます。

一級技能士なら、印刀の作り方や印刀を使用して荒彫りして、仕上げ刀で仕上げるまでの過程の基本技術を教授出来ないことはありません。

それが出来ないというなら、その方は一級技能士の名を語る偽物です。

何故、一級技能士が講師について、後継を指導しないのでしょうか?

不思議でなりません。

一級の人が次の人が一級を取れるように指導していけば、次へ伝える役割を果たしていけば、技能検定が国により廃止検討されることも無かったと私は強く思います。

しかしながら、継承現場は講師不足で疲弊しています。

講師がいないから講習生が集まらないのは自然の理であります。

また、講習会を運営する裏方さんもいないという問題もあります。

それが、現場の実情です。

そして、コロナ禍です。

私は大阪府印章業協同組合の講師をさせて頂いているのですが、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった3月から、既に半年間の休講状態が続いています。

毎日新聞のサブタイトルを借りるなら、

「講習放置6か月。技能検定が危ない」です。

その間、何もしないという状態ではなく、通信添削講座を私が提起して、他の講師の先生にお願いしていますが、運営は私がしています。

学校教育ではオンライン教育も取り入れており、その弊害も小熊教授は述べられていますが、それさえ導入しておりません。

こんな還暦の私でさえ、お知り合いの大学教授のご好意でzoom講義に参加させて頂いているのに、業界人は技術講習会に誰も取り入れようとはしていません。

大阪では、この30日に実験的にやってみようと技術委員長と共に取り組むつもりです。

全国ではどうでしょうか?

誰か実態を押さえている人がいるのでしょうか!

技能検定二級の受検対策講座は東京で3回取り組まれています。

近畿でも9月初旬にようやく1回目が実施されると聞いていますが、この対策講座は、通常の技術講習会からの受検者にプラスを想定しての数字出しです。

今、技術講習会が危ないのです。

休講中なのです。

従来の一級受検者への対策対応が出来ないでいます。

そういう現状を理解されているのでしょうか?

 

ここで、「継承現場の疲弊が、業界を弱体化させてきた根本問題である」という提言への対策として三つの提案をさせて頂きます。

  • 全国の継承現場の実態把握

全国に技術講習会や研究会、講座等がどのぐらいあり、講師と講習生、運営者の数を把握すること

  • 講習カリキュラムについて

講師のいないところ、指導カリキュラムを考えられない所への『印章教科書』を利用しての援助、やりたくても予算がないところへの補助

  • 検定対策への補修、講座を都道府県任せにするのではなく、できないところへ全国から援助すること

 

 

posted: 2020年 8月 23日