リンゴ嫌いのリンゴ論
果物は苦手です。
ほぼ食べません。
唯一美味しいと思うのは梨くらいです。
とりわけ、リンゴは嫌いです。
私とは反対に、家内は果物が大好物です。
果物好きの家内が読んでいた本で、私が嫌いなリンゴのお話がありました。
題名は忘れましたが、世界で初めて無農薬・無施肥のリンゴの栽培に成功した木村秋則さんという人の本でした。
3年前には『奇跡のリンゴ』という映画にもなりました。
ご存じの方も多いと思います。
木村さん語録に、次のような言葉があります。
「いろいろ試行錯誤してこの栽培をやってきたけど、一個も実らない畑の姿、家族の生活、それから世間からの嘲笑、八方塞りの自分、何一つ結果が出なくて、林檎の樹に自分がどうしたらいいのかと聞きたかった。」
農薬中心のリンゴ農家のなかで、信念をもち無農薬栽培に取り組んで、お金もない、子ども達におやつも買ってやれない、同業者からは馬鹿呼ばわりされるというなか、リンゴが育つ力を信じ、リンゴに語りかけながら、リンゴ自身から学んで、リンゴの無農薬栽培に成功されました。
木村さんが偉いところは、その成功を自分だけのものにするのではなく、みんなに分かち合うと同時に、その学びを講演会や書籍、映画、演劇と多くの人に広めていったところにあると思います。
「よく頑張ってくれたなぁ、ほんとありがとう、
こんなに大きくならなくてもいいのになぁ。
ありがとう、 ありがとう」
木村さんは、常に我が身を林檎に置き換えて話しかけて育てています。
リンゴへの感謝の念をもち、リンゴに恩返しをされています。
デジタルガバメント問題で大変な印章業界ですが、印章から学び印章に対して恩返しまでしている人は、誰一人としていないように思います。
不平不満を言う人は多いですが、そこからは何も生まれません。
印章に感謝し、明日の印章を模索するうえでも、さらに研鑽を重ね、皆と協力して明日へ繋げる姿勢が必要なのではないでしょうか。
日本が大陸の印制を受け入れた日本的霊性には、「おしで(押手)」という考え方があったと日本書紀にも記されています。
人と人との約束事(契約)から始まった考え方は、人と人との結びつきや絆とも考えられます。
その延長線上を歴史的にも守護して来たのは大陸からの印制と「印章」であります。
そろそろ印章に恩返しをしないといけない時代に入り始めたと捉えることが、とりわけ印章を生業(なりわい)とする我々に求められていると私は考え始めています。
木村秋則さんが、リンゴに寄り添い、リンゴから学んだように、印章を変にこねくり回し時流化するのではなく、その根本思想に寄り添い感謝して多くの人にシェアしていくことが大切ですね。
ちなみに、リンゴは同じ木からは実は生らないという自家不結実性の果実です。
自家受粉できないので、他の種類の違うリンゴ木の力を借りねば実は生らないのです。
自分だけ儲けようとか技術だけとかという自己中心では成り立たないのが世の中、みんなの力を借りて印章に寄り添い、未来を信じたいものですね。
リンゴ嫌いのリンゴ論でした。
posted: 2018年 8月 3日