提言:今こそ『印章憲章』の精神に立ち返ろう!

夕方には四国に台風20号が上陸し、近畿に記録的な大雨をもたらすとの予報が出ています。
通勤時は、少し風があるかなという程度でしたが、今日は早く帰宅させて頂きます。

昨日、印章や篆書を冒涜するような商品の情報ニュースをシェアしたところ、企業名が明確に出ていたにもかかわらず、「いいね!」をいただき、とりわけ業界人は勇気がいったことだろうと思いますが、それでも反応や業界外からコメントもいただき、この場をお借りしてお礼申し上げます。

パソコンの進化やその恩恵について、そのこと自体への危惧も言われておりますが、そういうことを言っているのではなく、印章を扱う業者は、印章やその文字について専門的な知識を有していないと、あのような玩具のような印章を製作してしまう危険性があるということです。
フォントを使用することにおいては、今や誰でもその危険性を認識できるはずです。
フォントを使用すること自体でどうこう言うつもりは私にはありませんが、そこには道義的な規範がいるということです。
フォントを使用して、別な店が同様にフォントを使用しても、機械の状態や、素材の狂いにより、同型印が出来ることは、厳密に言うと低いのかも知れませんが、互いに規範を持ちそれにあたらないと、消費者は印章に対しての信頼を失うことでしょう。
それにもまして、フォントをパソコン機能を用いて歪めることにより、それをデザインとかオリジナルと誤認されている状態は、印章の価値を低落させる要因になりかねません。
印章に使用される篆書という文字に対して、職人や専門家以外の業界人の一部から攻撃がありますが、今まで印章が権威をもち社会的信頼を保ってきたのは、この篆書のお蔭だということです。
フォントのみを使用している方には、わからないかも知れませんが、フォントを上下から平体をかけたり、左右から圧縮すると、文字の空間が変わり、中には線が重なってしまったりして、原型をとどめなく読めなくなります。
しかし、篆書では・・・とりわけ摹印、詳しく分類すれば、繆篆、塡篆、印篆、漢篆等に分けられますが、実質は同一です。
この摹印篆は、大篆、小篆と異なり、正格なる増減法を有しています。
これを知らずに、ただ単にフォントに圧縮を掛けたり、ましてやパソコン機能を用いて歪めたり片寄せたりしたのでは、本来有している文字自体の機能や他の要素が全て潰されて、中には誤字になったりするものもあることでしょう。

私は、(公社)全日本印章業協会より印章アドバイザーのお役目を頂いております。それは、役所から登録印鑑へのご質問をいただき、解答をするというお役目で、個人にアドバイスするという資格ではありません。
その折に、ともかく曲がりくねった印相書体(?)なるものが、その可読性に弊害を与えているようで、印鑑登録の係りの人は困られています
印章は、読めないモノではなく、なんと彫刻してあるかが判別されて、その役割を発揮するものです。
篆書は消費者のみなさんには、確かに分かりにくい書体であることは確かですが、その旨を誤認して、分からないもの=印章というイメージから、それを悪用してデザインという言葉を借りてされることは、印章とデザインに対する冒涜以外の何物でもありません。

デジタルガバメント問題で揺れている印章業界ですが、政府にモノを言うことと同時に、再度『印章憲章』の精神に立ち返り、深い反省と真摯な態度が求められていると強く思いますし、業界全体に提言いたします。

posted: 2018年 8月 23日