きちんとした印章

花の咲く 木は閙(さわ)がしき 二月かな
【作者】各務支考(かがみ しこう)

傾城の 蹠(あしうら)白き 絵踏かな
【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

朝から雨で、新しい靴を下ろすのは明日に控えました。
春を迎える準備を木々がしている喜びの雨のようにも感じます。
木や花の中に、何か別の新しい物が生まれるのではなく、母体になるものが着々と少しずつ新しい芽生えの準備をしています。

きちんとした印章を作製し販売するという当たり前の繰り返しを蔑視する風潮があります。
人は流行りの事象や新しい考え方に時として翻弄されるものですが、きちんとした考え方を否定してまでも踊り出ようとしている思考は新しいようで嘗てもどこかで見た事のある胡散臭い思考と共通するものが内在しているように思います。
はんこ屋さんの組合は、減少傾向にあります。
維持することで精いっぱいです。
流行りのように組合を辞めていかれた方に共通するのは、メリットがないという一言でした。
私も含めて、組合側からは、メリットは自分で見つけるもの活動の中で見つかるという反論もありましたが、やはり少し弱いところがあると思います。
本来、メリットはあったのです。
組合に加入しているお店は、どういう宣伝ができるかというと・・・きちんとした印章を作製し販売していますという消費者からの信用だと思います。
その為に、モラルを守った印章製作を学び、きちんとした技術を身に着けるために技術講習会を開催しています。
また、技能検定を推進するために国や行政に協力しています。
という二つの柱がありました。
それがドンドンと追いやられるどころか、軽視の次は蔑視・・・過去の遺物を見るような放置状態であるのではないでしょうか?
何か努力されていますか?
その努力が消費者から、組合に入っているお店の信頼を得てきたと思います。
新しいことを踏絵のように思っていると城は必ず傾きます。
きちんとした印章を作製しているかどうかをメリットの旗頭にして協力努力を発信していくことが求められているように強く感じます。

posted: 2019年 2月 6日