忘却される印章
自転車に積む子落すな二月の陽
【作者】長田 蕗
昨日の『「オオサカジン」に掲載頂きました』というブログにいただいたコメントをご紹介いたします。
「素晴らしいですね、私は30歳を過ぎてから印章というものが手で彫られることを初めて知りその技術に感動したことが忘れられません。殆どの日本人がその素晴しさに気づいていないというのが現状だとは思いますが一人でも多くの後輩が集まることを祈念致します。私も趣味で彫ってみようかな?といい歳をして考えてしまいます。」
以下は、頂いたコメントへの私の返信です。
「コメントありがとうございます。
印章の正しい発信は、日本のデジタル化よりも遅れています。
いや、恣意的に技の発信はされてこなかったと思います。
技には優劣が出来ます。
手作業を優先すると、大量には生産できません。
印章が唯一無二でないと意味がないということや、それを維持するために職人道徳があり、厳しい修業があり、上手い下手が発生する、それはどんなに努力しても技能・・・数量的な技術では測りかねない結果として現れてきます。
そんなものを商売に出来ないとしたのが、職人以外のハンコ屋さんです。
商品の特殊性を隠して、何処で作ったものも同じ印章であり、早く安く安定した量を供給できる所を企業目線で貫いてきた結果だと思います。
この春からの多くの押印廃止は、デジタル化の為に仕方がない、国民の利便性を優先していたのでは、結論として印章は意識されなくなります。
また、こうも言えます・・・忘れ去られます。
コロナ禍で技術継承もきちんとできていません。
そういうなかで、私が出来る事は、私の技量を肥やし、さらに精進して、お客様が感動できる印章を作る続けることかなと、それしかできないし、そういう職人さんたちも、もう最後の仕事となり行くことと決意されていると存じます。」
posted: 2021年 2月 13日