あっ!勉強しなくっちゃ
『 旅に病んで 夢は枯れ野を 駆け巡る 』
【作者】松尾芭蕉
技能士つながりであり、当店のお客様である大学の先生から先生の講義への登壇のお話をいただいたのは、5波のコロナの嵐が荒れ狂う少し前だったように記憶しています。
5波の嵐が静かになりだした頃に再度お話を頂き、今月の終盤のとある日に登壇させて頂くこととなりました。
私は経済学部卒でありますが、それとは程遠い職人となり、登壇させて頂くのは経営学部であります。
普段、印章の事や職人について、ベラベラと責任もなく喋っておりますが、今「あっ!勉強しなくっちゃ」という気持ちになっています。
経営学という観点から、印章業の在り方を眺めて行きたいと考えております。
印章業の起源とは、いつだろうか・・・?
『印章彫刻技能士必携』や『印章教科書』に次のようにあります。
「戦国時代から安土桃山時代にかけて、ポルトガル、オランダ、などの交易が盛んになり、その取引には為政者の朱印を押した朱印状が必要なので、種々の印章が作られました。この頃、実名印(後の実印)が商人の間で使用されるようになり、専門の印判師ができるようになりました。秀吉が3人の板版師を選んで、印判師になるように命じ、細字の姓を与えました。これが後の印章業者の元祖をなり、京都、金沢には現在もその子孫が残っています。」
この文章を読むと、印章の需要ができたから、時の権力者が印判師を養成して印章業の起源をつくったとなります。
嘗ては、なるほどと思っていましたが、視点を製作者側に持ってくると謎だらけの文章だと、現在の業界が抱える問題発生の起源もここにありと考えられます。
それまでの印章の製作は、現在の印章彫刻技能士が製作している方法ではなく、
鋳造された銅印でありました。
印章業界の起りは、印章の製作方法を一変させたのです。
(印章の製作方法の変化が印章業を作ったとも言えます。)
印章の研究者の製作方法の変遷についての研究論文は、私の知る限りでは見当たらないように思います。(印章の鋳造技法についての論はありますが)
私は印章の需要を引き起こしたのが、この製作方法の変化ではないかとさえ考えるようになりました。
この時、その必然性から印章は工藝となったのだと推察致します。
その工藝の姿勢を貫いて居れば、今の業界はもっと違う形になっていたことだろうと思います。
その辺りの探求は、経営学としての印章業の現在の問題点を浮き彫りにしていくかもしれません。
あっ!勉強しなくっちゃ・・・。
posted: 2021年 11月 10日