技術継承者のいない印章業界

幸福の木に蕾ができて、ついに花が咲きました。
店を閉めようとして、ふと見ると咲いていました。
調べると、夜に咲くようです。
夜の花?


匂いがきつく、芳香剤のような匂いで、朝にシャッターを開けると強烈な匂いが残っています。
お店では、お香を焚いているのですが台無しです。
しかし、幸福の木なので何か良い事があると期待しております。

印章のオリジナル性というのは、絵や柄ではなく、印面に構成された文字の美しさです。
古代メソポタミアの円筒印章の多くは、楔形文字に加えて確かに絵や図柄であります。
それは、図柄が文字以上に伝達の意味を持っていたからであります。
現在の実用印章は、シルクロードを通り、中国の漢字文化を吸収し、正倉院に到着し、日本古来の「おしで」の思想と融合して今の姿に到達しております。
その美は、輪郭・・・とりわけ円の中にいかに篆書の姿を美しく配置できるかという構成法が、注目されて当然のはずであります。

そうはならずに、はんこ屋さんや印章のマーケットでは、書体見本と名の付くフォント見本が羅列され、印材の販売合戦が繰り広げられてきました。
お客様の印影を創造するのではなく、印材という棒を販売しているのです。
本当に大切な在り方が後ろ廻しにされ、公益的なる考え方であるはずの印章が邪魔にされ、価値を貶められてしまっている現状です。
技術の継承も、技能検定に真摯に取り組まない業界姿勢が技術への考え方を如実に示しています。

上記のきちんとした印章の在り方とその価値を示すための論拠である人・・・印章を「きちんと」製作出来る人がいなくなってきました。
市場は乱れ、継承者がいない業界に蕾はなく、もちろん花も咲かないことと、心悩ませています。
いくら印章文化と叫んでも、AIやコンピューターが作成するパソコン印章やフォント印章を其の旗頭にするのでしょうか。

芳香剤のような匂いが薄くなり、今朝ほど焚いたお香の匂いに包まれて印面に向かいます。

posted: 2020年 2月 27日