脱ハンコ社会に向かう今、私にできること

「印章業界の反省と言っても業界の大半を占めるFC店、印相屋、モチーフ印章?という名のインチキ業者は全く反省しないでしょう。何故なら最初から正しい文字や彫刻の技術を知らず誇りも何も無いからです。今の若者達はバブルの頃の馬鹿な日本人ではなく質素な時代に生きていますので物の本質を見抜いています。この若者達を納得させる何かが具現化出来なければ今何かしらのキャラクター等で誤魔化し現在を乗りきっても近い将来印章そのものが無くなります。しかし今、荒掘りから実際に印章を彫刻出来る技能士が何人いるでしょうか?本物を追求できないなら全てを失って気付くべき業種です、新聞社等も今存続に必死です、必死にならなければ古い伝統は滅びますしまたそうあるべきかも知れませんね。」

 

上記文章は、私のブログへの読者の方からのコメントとして頂いたものです。

印章業界の反省というのは、私がブログに書いた次の文章からです。

「印章業界が実印の在り方を守るためには、今まで寛容過ぎた印章という商品の在り方を唯一無二を守るという観点から、また業界の猛省の視点に立ち洗い直さねば、最後の砦の実印の在り方まで崩していく事となると推察いたします。」

 

先日、20年前くらいに技術講習会で私の生徒であった方が来られました。

「コロナで、今年3月から皆目仕事がない。」

そういう状況の中、河野大臣の一連の脱ハンコ発言・・・「周りの技能士さんも困っている」と・・・

今朝、メールチェックをしていると、山梨の問屋さんの情報メールの最後に「このままでは、コロナでは死ななかったが、国に殺される」と悲鳴を上げておられました。

 

読者の文章から、業界はどのように襟を正さないといけないのか自明の理ですが、このままでは印章業が崩壊するのも(印章店が無くなる日も)あっという間なのかも知れません。

コロナが始まった今年の初めに、河野大臣の脱ハンコを誰が予想できたでしょうか。

 

しかしながら、できることはまだあります。

今ある陣地をきちんと守り、業界が襟を正して、唯一無二のモラルある印章をお客様に提供しますよと言う姿勢を如何に社会に浸透させていくかであります。

私にできることは、技術の継承への微力ながらのお手伝いです。

写真は、今年中止になった大印展の代替事業であります「令和印章修錬会」の審査と寸評です。

大印展の時は、審査員が集まり半日くらいで審査完了となりますが、今回集まらない審査のために、却ってじっくりと作品が吟味できました。

やはり、昨日丸一日を潰しました。

嘗てと違い、こういう世知辛い状況ですので、後進への指導を嫌がる傾向があるようです。

技術継承は大変なことで、仕事以外の時間や労力、お金もかかることです。

また、継承現場を助ける役割の裏方さんもいなくなり始めました。

そういうことからも、業界の状態を察知してきましたが、私にできることは今後も頑張っていきたいと強く思います。

この18日の日曜日は、zoom講習会から漸く抜け出し、対面教授の講習会が再開されます。

新年度となります。

 

posted: 2020年 10月 12日