60、還暦、半世紀の技能検定
行く年しかたないねていよう
【作者】渥美 清
年末の過去ブログやアーカイブスを見ていると、来年こそ印章にとって、業界にとって明るい希望を抱こうという話をさせてもらってきました。
今回も、少しでもプラス思考といろいろ知恵を働かせたのですが、あまりそういう話は何処にもなく、希望の芽などどこにもあり得ないので、事実を述べるしかありません。
齢(よわい)60の還暦にして、少しこの数字にかけて思う事があります。
私が生まれた昭和34年(1959年)は、戦後の貧困から、朝鮮特需、神武景気を経て復興の兆しが見えてきた岩戸景気の真っ只中が、昭和34年であり、映画「三丁目の夕日」の時代であります。
この年に、第1回の技能検定が実施されました。
今年、技能検定は私と一緒に還暦を迎えることになりました。
印章彫刻職種が、業界の強い要望により技能検定の全国実施に至ったのは、昭和45年であります。
来年の廃止が決定しているゴム印彫刻技能検定は、業界が技能検定を導入してから50年の節目となります。
先人が苦労されて、導入した技能検定が50年、私がその運営に携わったのは、ほんの20年(間5年はお休みさせて頂きましたが)くらいのことです。
それも先輩の背中に乗ってのことでしたので、それほどの労苦はなかったのですが、大阪では、その後継はいないので、私が走り回って頭を下げているというのが実態です。
厚労省が統廃合検討会の議題にありますよとご指示頂かなくとも、運営者がいないので、受検者がいても、そのうち業界自体が投げ出すことになるのは、火を見るよりも明らかであります。
受検者がいないというのも事実ですが、それは何度も繰り返し述べてきたように、業界自体が継承現場に力点を置いていない、スローガン倒れであるということ以外の何物でもありません。
人を育てなければ、次はないのです。
そういう意味でも、私自身が検定実施運営者の後継を見出せなかったことへの反省は大いにあります。
巻頭の寅さんの句ではありませんが、今年の暮れは、仕方がないという気分が蔓延しています。
私自身は、このラストのゴム印彫刻技能検定の運営を最後に、最前線からは身を引こうと思います。
寝ているわけではありませんが、それは業界の意志であり、仕方がないことだと決意しております。
決意とは、変な言い方かもしれませんが、「ねていよう」というにも強い意志がいるのです。
寅さん、ありがとう。
年始は、50作目の寅さんを観にいこうと息子からの誘いがありました。
