台風一過の大阪より
人生の台風圏にいま入りし 虚子
台風一過で、涼しくなるどころか、元の木阿弥、暑い朝を迎えた大阪です。
大阪の北部地震や先達ての豪雨災害に遭われた所では、そんな呑気な事も言ってられない災害の上乗せがあったような状況です。
自然現象の研究者からすると、逆打ちお遍路のような逆走した珍しい台風だったと思います。
都会のヒートし過ぎたアスファルトには、温度調整のためによかったのかもしれません。
見方や立ち位置によって、随分と結論が変わってくるようにも感じます。
肝心なのは、どの位置からどの方向を見て結論を導き出すのかということかも知れません。
その台風12号が上陸した日に、内閣府とデジタルガバメント推進について印章業界との意見交換会がありました。
用意された新大阪の会場は、入り切れないくらいの満杯状態でした。
100人~150人の間くらいの参加者だと思います。
まあ大阪だけでなく、近畿は勿論、四国や中国のハンコ屋さんも対象になっているので、そのぐらい当たり前なのかもしれません。
遠方よりの参加者の皆様、お疲れ様でした。
説明は短く、意見交流の時間を多くとって頂けたのは、いろんな立場の方がいろんな方向性から意見を言われたので、それを知れただけでも、行って良かったなと思いました。
印章の公益性を問う立場からの意見
経営者サイドの立場からの意見
技能士や技能士会サイドからの意見
印章文化継承というサイドからの意見
私が一番感銘を受けたのは、一家四人の生活を守っている大黒柱のお父ちゃんとしての切実なる意見でした。
印章店を取り巻く環境が悪化してきている今日これ以上印章不要の政策を国が推進すると「一家四人首をくくらなければならない。首をくくって魂になっても今ご報告されている方々の枕元に必ず立ちます。」と発言されていました。
あと気になった内閣府からの返答意見に、印章が唯一無二なもので、「百均で売っているようなハンコ(内閣府の方の言葉)」でないなら、その印影をデジタル化する方法も模索していきたいと言われました。
技能士が彫刻したとは言われていませんし、技術力のあるはんことも言われていません。
唯一無二で必ず一つだけの印影ができるとしたらというニュアンスです。
今の印章業界で、これが出来ないという事を想定して発言されているなぁ~。上手い逃げやなぁ~と感心させられました。
いいですか。
オメガやローレックスの時計も時計という概念があり、デジタル時計もありアナログ時計もある・・・安い時計もあって高級腕時計が成立します。
独立時計士でないので、それらの高級メーカー物も全て手で作っているのではありません。
しかし、それが高級腕時計として認知されているのは、その社会性を有した存在とそれらの発信力であるからです。
この世がアナログ時計のみになれば、時計という概念は無くなるかも知れません。
アナログ時計もデジタル時計もあって然りなのです。
手彫りもあって機械彫りもあって、「百均で売っているようなハンコ」もあって、印章という概念が存在して、社会に存在するのです。
その辺の論理に逃げ込まれたという感想が最後に残りました。
技能士も減り、来年の技能検定で休止状態に入るかもしれない今の状況や、技能士と言えどもフォントで作製された印章を販売している業界の姿勢をよく理解されて発言されているなぁ~と感心させられました。
この世は、「百均で売っているようなハンコ」で満ち溢れていることを良くご存じなのでしょうね。
これを機に、業界自身が襟を正し、デジタルガバメント問題を通して再生されることを強く思った意見交流会でありました。
最後に虚子の句の下手くそな盗作を
印章の台風圏にいま入りし 煕菴
蛇足:台風は秋の季語・・・嘗てよりおかしきかな今の天候と印章
