10月は技術講習会の新年度です。

屋根草も実となる秋となりにけり
【作者】巌谷小波

明日は、昭和28年から続く大阪府印章業協同組合技術講習会の新年度です。
第67期ということになります。
大阪の印章組合が連合会となり技術委員長の堤箔堂さんが創設したのが技術講習会でありました。
東京の技術に対しての大阪の遅れを最大の課題として出発したと聞いております。
今は亡き二葉一成先生や二階堂五雲先生によくお聞きしていたのは、誤字や俗篆が平気で使用されていた。
自店の親父の文字を一番と考え、字書で文字を確かめることなく彫刻する。
それを是正する事を旨とした講習であったようです。


現在は、はんこ屋さん用のパソコンフォントを字書と同様に考え、間違っていても気にせずに彫刻してしまう。
そうなると、文字の立ち位置、レイアウトなどあったもんではありません。
少しは違っても、根本は今も同様なような気もします。
しかし、意義の再確認はしなければなりません。
大阪の技術講習会の在り方も当時とは、随分と変化してきています。
私が講習生として参加し始めた27年前と比較しても変わっています。
まずは、大阪の組合員やその御子弟、従業員の講習生が激減したということ。
当時から、近畿圏内の方はチラホラと来られていましたが、今や西日本や東海からの他県の講習生の方が多くなってきています。
来年の技能検定も実は、大阪会場は同じ状況です。
役割や意義が少しずつ変わってきています。
再度整理し直す必要が私はあると思います。
また、他県の講習生を受け入れ、組合員でない一般のはんこ屋さんに向けても門戸を開いているということは、公益事業だと私は思います。
公益ということの大きな意味は、現場における継承を第一に考え、それを公のために還元していくということではないかと思います。
技能検定が実施できなくなっている都道府県を見てみますと、技術がスローガン倒れしていて、技術講習会が空洞化しているところが多いように感じます。
そこへの援助が必要だと思います。
印章業界の土台は技術です。
技術が軽んじられ、継承現場への援助もなく、土台を知らない又見ようとしない人達が机の上で決められた在り方が公益ではないと強く警告致します。
土台である技術が崩壊するという事は、印章業界が消滅することに繋がるのは明白であります。
どうか、継承現場に光を!
熱心に来られる講習生のニーズを受け止めるために、朝一番に大印会館の鍵を開ける仕事が当面続きそうです。
明日も頑張ろっと・・・。
※嘗ての講習会風景の写真は大印展の40回と50回記念誌からです。

posted: 2019年 10月 19日