冬眠する力

冬薔薇に開かぬ力ありしなり
【作者】青柳志解樹

私のブログに、印章の明るい未来を祈念して激励のコメントをくださった方の文章に、今日対面させて頂きました。
この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。
印章業者の仮面をつけて、印章の価値をドンドンと低下させたアウトロー達が、印章業界の代表のような顔をして闊歩しておりますが、印章業を支えてきたのは、名も無き唯一無二を守ってきた職人であり、それを大切にしてくれた先人の商売人でありました。
年が改まってからの文章に時折、印章は冬眠の時代を迎えたと書いています。
それは、景気が悪くなった(自分で自分の首を絞めたとも言えます)印章業界であるということでもありますが、印章がその持てる力により、シャッターを閉め始めたという見方もできるのではないでしょうか。
これ以上、私の価値を下げることを止めてくれという悲痛なる叫びと共に。

時代は、どんどん変化していきます。
それとともに暮らし方も変化して、人の意識も変わってきます。
以前のテレビCMでは、みそ汁を作美しい女優さんの姿が映し出されていましたが、昨今ではご飯を作る夫とみられる男性の横で妻である女性がニッコリと笑っている。
男性女性の在り方も大きく変わってきています。
印章業界では、依然と男性実印と女性実印に区別され販売されています。
ネットの大きなショップでも、そのサイズを男性は大きく、女性は小さくしています。
男性用サイズ、18ミリ丸という怪物のような大きなサイズを勧めているところもあります。
技術力ではなく、素材サイズを大きくして少しでも利益をとされているのでしょうか?
昨日のニュースで紙の通帳からデジタルに変えると、千円をプレゼントという銀行が出てきています。
銀行印という名称も、何か最近の現状に合わなくなってきているようにさえ思われてなりません。
どういうところで、印章はニーズがあるのかを、整理して、こういう使い方がありますよと提案できる業界であるべきです。
また、その基底の技術の継承現場を大切にする業界であるべきです。
残念ながら、そうではありません。
静まり返っているのが現状、それどころでないとする姿勢を示すのが現状・・・
印章自身はそれを拒否して閉じようとしている。
まるで、戦国時代の花押(書き判)の全盛期に冬眠していた印章のように・・・
巻頭の冬薔薇は、咲かなかったのではなく、開かぬ力を有していたのです。

posted: 2020年 1月 22日