広々とした四つ角を目指して

人々に四つ角ひろき薄暑かな
【作者】中村草田男

今日は、お昼から咲洲庁舎に行ってきました。
3月13日にゴム印彫刻作業の技能検定の合格発表がありました。
合格者のところには、大阪はまだ合格証書が届いていません。
緊急事態宣言が出されている間は、来庁を控えてくださいということで、解除後の先日、お許しがでましたので、合格者のみなさまの証書を本日頂いてきました。
合格者の皆様には、まだ直接お会いする機会ができませんので、組合事務所から送って頂く段取りを取りました。
ゴム印彫刻の技能検定は、その講習会から実に大変な思いを致しましたが、最後の合格証書受領の件でも、こんなに大変な思いをした技能検定は初めてでした。
そして、ゴム印彫刻作業の終了となりました。
社会的には廃止となります。
全国的には受検者数も少なく、大いに悔いが残った技能検定でした。
令和3年度後期には木口彫刻作業(1級手彫り、2級手仕上げ)がありますが、どれだけの受検者が集まるだろうか?
今のままでは、技能検定継続要件の100名の受検者など、夢のまた夢です。

今日も咲洲庁舎に行って大変だとか
この間、技術講習会が休講状態で、通信添削を講師に依頼してそれを纏める作業が大変だとか・・・・
そういうことを逐一これ見よがしに業界内外を問わず発信しているのは、発信しなければ分からないからです。
技術もそうです。
自分が上手いとか、何々賞を頂いたとか、こういう苦労をしてお客様を思い彫刻しているということを、いくら自分が思っていても消費者には発信しないと伝わりません。
業界内で、この間のリモートワークの障壁としての印章やハンコ議連会長の発言の対応にいくら追われて汗をかいていた人がいても、それを話さなければ、業界内の人伝わらないのは勿論、日々社会からの軋轢を受けて不安に印章業を営んでいる人にとっては、却って不信に思われても仕方がないことです。

私は、叫び続けます。
今日も咲洲庁舎にいって合格証書を受領して合格者に届けるために組合事務所まで出かけましたと・・・。
影での苦労は今のご時世流行りませんし、伝わりません。
昔の宮大工は、お寺の屋根の柱の見えないところに、自らの名を入れたといいます。
自分のしたことや証は、足跡として残るように伝わるようにしないと、誰もしてくれません。
それを続けているうちに、印章の社会的認知は戻って来ると思います。
一部の優秀な人がするのではなく、コロナ後の社会は、みんなが認知して進む共生の社会に変わっていくと思います。

コロナ禍での鬱屈した日々の街角でも、ちょっと曲がった先には広々とした四つ角が待っているのだと、信じて生きてゆきたいと思っている今日この頃です。

posted: 2020年 5月 27日