助からないと思っても 助かって居る

毎日新聞の朝刊に「美術のちから」という命題で様々な美術作品が掲載されていました。
その中で、私の大好きな河井寛次郎さんの書が紹介されていました。
氏は、陶工であり柳宗悦らと共に民藝という考え方を世に広めた方です。
書に表されている言葉は、今のコロナ禍に寄り添うものです。

助からないと思っても 助かって居る

新聞によりますと、この言葉は将棋の大山康晴十五世名人が座右の銘にされていたようです。
また、河井寛次郎記念館の学芸員の鷺珠江さんは、次のようにも綴っています。
「悩める時、病める時、苦境の時に助けられる言葉です。自分ではもう助からないと思っても、その後ろには大いなる力があり、決して諦めることはない、終わりではないという思いで捉えています。」

印章がリモートワークの障壁であるとか、デジタル化の世の中に旧態依然の印章は社会悪であり、「さらば!ハンコ」とまで宣伝されていると、流石にめげてきます。
しかし大いなる力というものは、真面目にひとすじの道に励む者の上には大いなる光となり降り注いでくるものです。
毎日、印面に向かい精魂を傾けて仕上げた印章をお客様にお渡しした時の感激の笑顔、遠方の方とメールのやり取りをして、漸くお届けできた印章に対して頂くお礼の言葉、それこそが大いなる力であり、これからの私の進む方向を力強く示してくれています。
今朝、技術講習会の添削と纏めの作業を行いに店に行くと、ブログにコメントをいただいていました。
その大いなる力をご紹介しておきます。

「最近では弁護士会が作成した印章不用CM等が流されていますが私は日本に根付いた文化がそう易々と滅亡することはないと確信します。神社仏閣、敗戦後の剣道等の武道、茶道や詩吟もそうですし時代の荒波に翻弄されながらも本物は残ります。印章は今まであまりにもインチキ、まがい物が横行しただけの事であり現状の様な一大ショックにより使用者の本音が噴出し偽物が駆逐されようとしているだけです。しかし本物の修行をした職人達が生き残り文化の継承、発展をさせる為には先生のように正しい情報を発信し続ける方が増えるのが必須になると素人ながらに思えてなりません。インチキ開運印相屋でも人通りが多ければ流行るようですから美しい印章が目に留まれば使用者がどちらを選ぶかは必然であると思います。」

コメントを賜り有難うございました。

posted: 2020年 5月 24日