世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない
麦飯の熱(ねつ)さめがたき大暑かな
【作者】宮澤賢治
以下、宮沢賢治の『農民芸術概論要綱』の序論です。
序論
……われらはいっしょにこれから何を論ずるか……
おれたちはみな農民である ずゐぶん忙がしく仕事もつらい
もっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたい
われらの古い師父たちの中にはさういふ人も応々あった
近代科学の実証と求道者たちの実験とわれらの直観の一致に於て論じたい
世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない
自我の意識は個人から集団社会宇宙と次第に進化する
この方向は古い聖者の踏みまた教へた道ではないか
新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある
正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである
われらは世界のまことの幸福を索ねよう 求道すでに道である
コロナショックの間から、賢治の言う「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という世界観が、withコロナ社会という在り方が方向づくことにより、はっきりと私達の目の前に提示されてきた。
印章彫刻の技術の捉え方において、最近いろんな人とのズレを感じ始めている。
技術は一の意識に統一出来うると考えて、様々なことを仕掛け、圧をかけられ、倍返しに合い、それでも一の意識を大切にして来た。
それは、それが可能だと信じてきたからである。
状況はどうだろう。
技能検定が継続される重要性は、一部の理知者の間での認識には進んできた。
技術者も含めて、それが一の意識には到底及びもつかない状態である。
運動が目の前のみであり、根本的には100という数字を解決しようという思考すらないように感じる。
100という数字を解決する思考のみでもダメなのに、その前提で崩れ去っているのが現状だと思います。
運動や思考さえ、一の意識に届かない。
私は、それでも運動のなかで、意識の変化が生まれると信じていました。
コロナ以前は・・・。
withコロナ社会という意識を持たないと、一になれないのに、コロナという怪物に向けての恐怖心のみが露呈しているだけのように思えてなりません。
技術を一の意識に成り得させない要因は、技術を甘く見ているとしか言いようがありません。
今、質量とものクオリティの低下は、技術からの「倍返し」であります。
技術をパホーマンスや見世物と利用しようとしていた輩は、顕著な例ですが、一の意識を持たずに、技術に向かっている職人面も私は偽善だと考えます。
印章業界内での一の意識化は、不可能だと悟りました。
とてつもなく大きな、賢治のいう集団社会宇宙から印章を見つめ直したいと強く思うようになりました。
そこに、新たな時代がきっと来ることを信じて・・・。
昨日は、大暑でした。
本来なら、25日は大阪では天神祭りであります。
神事は行われますが、祭は中止です。
暑い中、楽しみのない夏ですね。
冷たいお茶を満タンにした水筒が手放せない日が続いています。
今日も、仕事量調整に休日出勤です。
posted: 2020年 7月 23日