第23回全国印章技術大競技会印譜

昨日、写真の「第23回全国印章技術大競技会印譜」が届きました。

一番に頭に過ぎるのは、コロナ禍で裏方さんの作業がどれほど大変だったか、そのこと自体に頭が下がります。

本当にご苦労様でした。

また、コロナ禍での出品は大変だったことと思います。

出品者のみなさまもお疲れ様でした。

大臣賞や入賞のみなさま、おめでとうございました。

全体としては、やはり出品数は減少していたと思います。

審査に携わらせて頂いて、2回目の大競技会になりますが、それ以前より大印展裏方としてのプライドを持ち長年作品作りをされるという技術分野に関係してきて感じることは、質量共の低下が急激に進行してきて来たこと、とりわけ裾野がいなくなりつつあるということです。

ここを何とかしないと、たとえ実印と銀行印が残ったとしても、それを彫る人がいなくなれば、その唯一無二の存在感をAIに託すなら、もう印章はいらなくなり、デジタルオンリーであらゆる承認事項がスピーディーになる事だろうと思います。

本当は、「無駄なハンコ」など何一つありませんよと私は「脱ハンコ」反対と大声で叫びたいのです。

ハンコの押印というのは、最終的には「おしで」の確認であります。

約束と契約の確認であります。

それが無駄とするなら、今まで押印してきた人達を国が騙していたということになります。

無駄そうに見えても押印してきたからこそ、人と人との約束が守られてきたと同時に、押印するという慣習が作られてきたのです。

だから印章を大切にしよう、押印には気を付けようという意識が形成されてきて、それが印章に押し込められてきている・・・作製者の魂と使用者の魂の融合があってこそ、「おしで」の考え方が守られてきたと思います。

それを作製している現場が危ないと、それを長年見て来た私は強く感じて、継承現場に身を置く事と、それを発信し続けているのです。

実印と銀行印のみを作製して、それを職業として、「技術を習得するために頑張りなさい。」と若い人達に言い続けなければなりませんが、選挙で政権が変わり、それも無駄ですと言われれば、それでお終いなのでしょうか?

はんこ屋は無くなるのでしょうか?

 

きちんとした印章の作製を身に着けることは、パソコンのフォントで印章を作製することと比べて、とても大変で、時間と労力を要します。

多くの業界人が、手彫り彫刻を覚える必要を感じていないし、それを無駄と感じているから、技能検定受検者は集まらないし、廃止の職種対象とされているのだと思います。

2級対策を至急に講じられて、頑張って頂いている事には敬意を表しますが、それが数を集める事のみに完結すれば、それは滑稽なこととして社会からの嘲笑を浴びるだけとなります。

大切なのは、その中身とその後への対応策を提示しているかということです。

技術をなんとかしないと、本当に未来はありません。

今、大印展の代替事業「令和印章修錬会」の審査と裏方をしていて痛切に感じております。

 

先生・先輩がいて、今の自分の技術があるのと同様に、それを後継に伝える努力があるから今の自分の技術は生かされ社会に貢献できるのです。

それを決して忘れてはいけないと私は思います。

最後に、「第23回全国印章技術大競技会」の入賞者発表は、10月17日付となっています。

本来、コロナでなければ、仙台での全国大会が開催され、そのなかで表彰式が挙行されていたのが10月17日です。

表彰式で入賞者の元気な姿をみたかったな。

全印協ホームページで、きちんとした美しい印影をご覧ください。

http://www.inshou.or.jp/inshou/common/pdf/2020daikyougikai.pdf

 

 

 

posted: 2020年 10月 20日