25年の月日が培った職人道徳

二月尽雨なまなまと幹くだる

【作者】石原舟月

 

25年前の2月に船出した「三田村印章店」

老舗に比べると、とても短い25年ですが、25年前の2月はとても昔に思え、四半世紀と名乗ると、今の自分に合っているような気がします。

先日の25周年記事は、家内の文章ですが、それを借りるなら、商売の「い・ろ・は」も分からない父ちゃん母ちゃん商売でした。

お店と言っても、前売りのお客様が多くあるわけでもなく、外商をして得意先を伸ばすという営業力もなく、どうなるかわからない、ただ好きなだけの印章技術を前面に押し出して前を向き進んできました。

技術関連の先生、先輩とのお付き合いも多く、そこから派生して印章組合活動にどっぷりと嵌っていきました。

毎月の技術講習会、技能士会の活動、毎年の大印展では忙しく、子どもの運動会にはほとんど参加していなかったと思います。

しかし、先生、先輩から教えて頂いた職人道徳は、今も私の中に生きています。

自分さえ上手ければよいでは、技術というモノは自分の中に入らない、先人、先生、先輩からの教えがあり、それを引き継ぎ次に伝えることで、今の自分が存在させて頂いている・・・だから、唯一無二を守るという最低限の道徳が守られてきたのだと思います。

 

25年が経ち、若い頃と同じような活動は出来かねますが、私の中に養われた職人道徳は健在です。

ただ業界の弱体化の進行は、私が考えているより早く、職人道徳など考えている間もない現役メンバーをみていると、これからの自分の在り様を考え直さざるを得ない状況かなと危惧致します。

休講続きの講習会、意欲の低下は致し方がないのでしょうが、大印技術講習会の木口講習生が私だけになった時を思い返し、それを伝える努力はまだ不完全であったと、反省点も大いにありです。

 

これからの「三田村印章店」は、そうした業界環境のなか、職人道徳という羅針盤を掲げて、更に前に向けて、お客様と共に歩んでいきたいと思います。

これからもよろしくお願い申し上げます。

 

posted: 2021年 2月 26日