夏休み
われここに 啄木はそこに 夏休
【作者】山口青邨
学校行きは、どうも今日から夏休みとのこと。
大阪のはんこ屋組合の技術講習会も8月は夏休みだ。
昔むかしは、この講習会には夏休みの宿題などなかった。
それは、公教育でも義務教育でもなく、職人の自発性によるものなので、当然の事であります。
普段の講習も、敢えて課題という方法を大阪は取ってなかったように思います。
参考作品はありましたが、それを講師の先生は敢えて課題とは言わずに、やる気のある者しか相手にしていませんでした。
それが、公教育とは大きく違うところですが、そんな事を言っていると、誰もついてこないのが今なのでしょう。
だから、技術講習会というか職人の技術継承の在り方も変えていかないとダメだと、これは本当にダメになる一歩手前だと思います。
昔の技術継承現場にいた古株がそう唱えているのに、不思議なことに後発組が今までを変えようとしないのには、最近驚きを隠せません。
出された課題をひと月でこなし、提出するには労力が必要です。
しない人は、昔はほったらかし(放置)で、その内来なくなることを当たり前としていました。
その人が、技術が身につかないのは、自分のせいではなく、その人が努力しないから・・・いつも夏休みだから、課題をしない、その人に他の季節はないでおわりでした。
もうそんなことを言っていられない状態です。
巷の技術なき、ある意味規範なき印章が、ドンドンとその価値を低下させる役割を発揮している時に、それを放置するのも、技術講習会に課題を提出しない状態を放置するのも同罪だと私は思います。
さらに言うなら、木口に集中しそれをある意味「教育」することが業界全体に求められているように強く感じます。
今の所、他は要らないと思います。
嘗ての講習会のように、いろんなことをする講習会のような余裕のある状態ではないし、きちんと木口を教える事のできる人材バンク(講師バンク)を今こそ設立すべきだと、このくそ暑い夏に切実に訴えたい!
写真は、この前の日曜日の技術講習会研究科実印課題の印稿「柳宗悦」です。
お名前は、4文字ばかりとは限りません。
篆刻芸術の字法・章法と違い、実用印章(木口)には次のような数学的ロジックがあります。
苗字が一文字の「柳」、名が二文字の「宗悦」の場合、各文字の大小違いを抑えるために、丸の中の一行目に入る苗字の一文字の幅取りを狭くします。
同じ幅にすれば、柳の位置する面積が大きく、柳だけが巨大に目に飛び込んできます。
この数学的ロジックは、パソコン画面上の技術の指導でもできることです。
しかし、それを説明出来る人が実に少なくなりました。
講師バンク制度は急がれる課題だと思います。
この夏、8月私は敢えて夏休みの宿題を出して、手の動かない夏を少しでもストップできるようにしたいと思いましたが、どうなる事やら。
posted: 2022年 7月 21日