実印をきちんと作製し販売できるのがプロフェッショナル

紫陽花や きのふの誠 けふの嘘
【作者】正岡子規


6月になりましたので、気になることもあり気分転換を兼ねてお墓参りに行くと、紫陽花が綺麗に咲いていました。
おかしげな天気ですが、梅雨を迎えると紫陽花に目が行きますね。

職人気質に誠や嘘は、おそらくないのだろうと思います。
嘗ての私も今の私も、仕事の手を抜く事を嫌います。
柘の仕事も高級象牙の仕事も同じく精魂を傾ける。
これは職人気質ということでは、正論であります。
どんな仕事も手を抜かない。

しかしながら、お客様目線ではどうでしょうか?
より多くの対価を支払っているのに、安価な商品と同じ仕事をされたのでは、たまったものではありません。
何のために高度な技術に対して価値を見出し、より高額な対価をお支払い頂くのか意味をなさなくなります。

だからと言って、価格の低い方の仕事の手を抜く事ができないのが、職人気質だと思います。
上手に職人気質とお付き合いしていかないと、職人としての仕事に厭きがきて、日常の仕事に面白味を感じなくなり、どうして手を抜こうかという事ばかり考え始めてしまいます。
それではもう職人ではなく、職人気質を人に見せるという別の仕事となり、手元の仕事がおろそかになり、仲間内が見ても「なんじゃこれ?」という仕事をして平気で消費者にお渡ししてしまいます。
そして、印章の価値が益々低下していくのです。
「こんなものか!」と思われたら、観光商材と違いますので、いつかは人から指摘されたり、使用しているうちに疑問を持ってしまいます。
本物は、見ていて飽きがなく使えばより真価が発揮されるものです。

上記のことに、なかなか答えを見出せない私ですが、嘘ある商品はお渡ししたくない、自分よがりの商品もお渡ししたくない、精魂込めた本物をお届けしたい。
その為には、やはり職人は死ぬまで勉強ですね。
後、どのくらい紫陽花の変化を見ながら考えるのでしょうか。
「けふの嘘」にならないように、自らのお客様を大切にしていきたいと強く思います。

posted: 2019年 6月 3日