モノづくりの基本精神

懐手かくて人の世に飛躍あり
【作者】軽部烏頭子

昨日は、今年最後の技術講習会でした。
大印展が終わった11月講習会は、年賀状印刷等々で忙しくなり、毎年参加者が少ない月です。
技術を意識しないと、忙中の人となり、気が付けば何もしなくなるというのが常の習わしです。
皆さま、お気を付けて・・・。
連続テレビ小説『スカーレット』のお話・・・。
基本を積んで、腕を上げていく喜美子。
新作に挑戦しようと息巻き、兄弟子たちに話します。
絵を得意とする喜美子は、中学校で県の絵画展覧会で金賞を取ったことを自慢しました。
ところが、兄弟子たちは、全国で大臣賞や美術学校首席の強者でした。
そんな話をしていると、師のフカ先生は、「芸術作品を作るのと違うぞ。火鉢を使うてくれはる人を思い浮かべて、ええなぁと思うてもらえるデザインにせんとあかん。」と言います。
モノづくりの基本精神です。
懐手(ふところで)をして手を袂のなかで暖めている姿は、不格好でだらしなく感じるかもしれませんが、そういう状態が必要な時もあり、その暖まった手を使い、大きく飛躍する時が必ずやって来ます。
大切なことは、お客様が「ええなぁ」と思って長きにわたり使用してくださる姿が想像できる力を懐手でつけることだと思います。

posted: 2019年 11月 18日