内から溢れて来る情熱

職人に口出し無用寒の梅
【作者】平野道子

連続テレビ小説『スカーレット』・・・
・・・八郎さん、出ていかれましたね。
ドラマ目線、夫婦目線で言うと、とても喜美子が身勝手で、自分がしたいことの為に家族を犠牲にして周り迷惑をかけている状態です。
職人目線ではどうでしょうか。
私は喜美子の気持ちが分かります。
一つの事に情熱を持ち続け、へこたれずにトライしていく・・・
陶芸の事は門外漢ですが、2~3度の失敗は職人仕事なら当たり前のことです。
職人は、失敗を繰り返し、恥を多くかくことで上達していきます。
それには、その道一筋、わき目も触れずに立ち向かう時期が必要です。
1級2級を問わず、技能士資格を得たからそれでよいとするのは、その程度の職人で、その程度の仕事をして、その程度の商品をお客様に渡します。
より良きモノ、さらに良きモノを追求する姿勢を持つのが、本当の職人であり、失敗や恥を逆に力とするのが本物であります。
似非職人や職人ぶる作家気取りを目や耳にしますが、全て自分に向いておられる方、次元の低い自己満足と言えるのではないでしょうか。
また、それを客寄せ材料にしておられる方には、喜美子の気持ちは理解できないかなと思います。
内から溢れて来る「陶芸が大好きだ!その色を出したい。」とする声に耳を傾けるか、平々凡々を装い自分を騙して生きるかの違いだと思います。

posted: 2020年 1月 30日