the Revolution of skilled craftsmen

「論語読みの論語知らず」(『上方いろはかるた』より)

 

『人新世の「資本論」』で最近話題になっている斎藤幸平さんが、ゲスト講師を務めるNHKの100分で名著『資本論』の第3回目を見ました。

NHKが『資本論』を取り上げる時代なのかと、少しびっくりしています。

第三回目のテーマは、「イノベーションが「クソどうでもいい仕事」を産む!?」という内容でした。

資本主義下、企業間の競争が激化する中でのイノベーションは、効率化を求めるあまり過度な分業化を推し進めてしまう。その結果、本来豊かな労働を「構想」と「実行」に分離、創造的な「構想」のみを資本家が奪い、単純労働のみを労働者に押し付けるといった過酷な状況が構造的に生じてしまうというというお話でした。

なんか、職人という仕事(労働)に当てはまるなぁ~と思いました。

嘗ては、職商人と言われた印章業です。

職人が作ったハンコを職人が販売していた。

その時には、上手い下手が商売のカギを握っていました。

世界に一つしかない印面を作るという創造的な仕事を職人の腕(技術)が担っていました。

それを機械化するにも職人の知恵は役割を果たしました。

しかしながら、そこには価格と納期の競争を引き起こしました。

資本家は、技術を平均化して消費者に分からない商品が出来るロボットを開発し、それを使用して市場にさらなる競争が激化しました。

その次は、流通の在り方が変化していくなかで、さらなるイノベーションによりインターネットでの販売競争が激化して来ています。

いわゆる、イノベーションが上手なところがネット販売を握る状態が出来上がり、ついにはその商品は中身のない、印章の本義を捨て去った商品となっていきました。

ドンドンと商品の価値が低下してくる中、コロナによりあぶりだされた「脱ハンコ」という騒動がおこり、価値無き印章の市場からの退場を求めてきました。

イノベーションに頼るしかない資本家は、それでも利益追求を求めて大量の宣伝に打って出ているのが現状であります。

ここに一つの逆流の芽が潜んでいます。

資本家に奪われてしまった本来豊かな労働を取り戻し、「構想」と「実行」を再統一する動きであります。

即ち、嘗ての職人仕事の復元であり、復興であります。

それを具体的にどうしていくかは、残り少なくなった技を有する職人の考え方の転換だと私は強く思いました。

学生時代、経済学部でした。

もう少しきちんと『資本論』を読んでいたらなぁ~と後悔致しますが、さらにNHKで勉強をさせて頂きます。m(__)m

https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/105_sihonron/index.html

 

posted: 2021年 1月 19日