手仕事のプライド

きさらぎや 人の心の あらたまり

【作者】吉分大魯(よしわけ たいろ)

 

今日は調子が良い日です。

手仕事をしていると、そういう日ってありますね。

印稿(完成デザインの草稿)を考えていて、輪郭である円のなかで、鉛筆を滑らしていると、線が線を生んでくれます。

文字骨格を線書きしていて、その線が全く上手い形に収まらない、頭に来て破いて捨てて、本当に文字との格闘だと思う日もあります。

書いている線が次の線の予兆をしめしてくれたり、模索して沢山の線の中から美しい線が生まれてくることもあります。

仕上げ刀を何回砥いでも切れるという感覚が伝わらない、上手い線が表現できない日もあります。

そういう日は、仕上げを止めて、別な事をします。

 

だから、より良い物を作るための職人仕事って時間が掛かります。

デジタルには、ここのところ色々とミスが続いていますが、本来デジタルや人の手が入らない機械仕事は、安価に大量に安定した供給をしてくれます。

しかも今流行りの迅速に・・・。

 

やはりそれらとは一緒にはして欲しくないし、一緒にはしたくないという、手仕事のプライドが私にはあります。

posted: 2021年 2月 10日