木口師としての生涯を全うしたい
3年前の「時代に遅れ続ける経営」の一澤信三郎帆布さんについて書いたブログを読み返して、先日テレビで観た映画『繕い裁つ人』を思い浮かべた。
神戸にある「南洋裁店」の2代目店主である市江は、「2代目は、初代の仕事を全うすること」と周りから“頑固おやじ”と呼ばれています。
ブランド化を目指そうとする誘いを断り、先代の「一生着続けられる服」の直しを懸命に続けている。
百貨店の仕立て直しを専門としている腕の良い職人が時代に遅れて仕事が無く、店を閉める事を市江に話した。
後日、市枝は「先代は病院のベットで、亡くなる寸前まで、技術指導をしてくれた。震える指であるはずなにに、縫い目には狂いなく真っすぐでありました。
印籠を渡されるまで、最後まで足掻くのが仕立て屋だと私は思います。止めないでください!」と泣きながら訴えたシーンには胸に迫る物を感じました。
今年2月の技能グランプリで紳士服製造職種は、5名集まらず競技が出来ませんでした。
技能検定の灯火が消えかけている印章彫刻職種・・・「最後まで足掻くのが木口師だと思います。」
しかし木口師の仕事は、技能検定と言う資格のみでは表されません。
変容した印章業というハンコ屋より、私は木口師としての生涯を全うしたいと強く思います。
posted: 2021年 5月 11日