技術継承を考えなおす

選挙近し新米古米まぜて炊く

【作者】大元祐子

 

今朝の朝散歩は夫婦ともども寝倒しとなりました。

明日は、大印展の作品開封日ですが、早起きして頑張ろうと思います。

今日は、仕事量調整と審査員作品作りで休日出勤して、シャッター半分で作業中です。

 

昨日のブログ「押印廃止から押印禁止へ」にコメントを寄せて頂きましたので、ご紹介させて頂きます。

「印章自体を面倒なもの、邪魔なものと我々一般の使用者に認識させたのは申し訳ありませんが印章が無くなる訳がないと盲信し出鱈目な商売をした印章業界にあると思います。それも正しい修業をされた技能士が、ではなく売れればいいと開運印鑑やキャラ物、象牙は家庭の発展の様な霊感等一言にまとめれば胡散臭いものを胡散臭い業者が何も知らない使用者に売りつけたのが原因の何割であると確信します。印章競技会等で見られる技能士達の卓越した密刻等の技術を見れば大半の者も印章の価値が分かるでしょうし開運屋か技能士のどちらかを選ぶかは明白です。また印章の値段は地方や店によって違いがありすぎ素人には入店しづらい部分もあります、これからは印章という道具ではなく芸術としての部分が色濃くなっていくと思われますが何卒心ある技能士の方には印章文化の復権のため頑張って頂きたいと願います、私も一級技能士の方に彫って頂いた印章を持ち歩き微力ながら宣伝等させて頂きたいと思います。」

 

頂いたコメントへの私の返信です。

「コメント有難うございます。

私も業界内におります商売人ですので、ご指摘に片腹痛い側面もあります。

しかしながら、半分職人ですので、その道を生かして行きたいとも考えます。

道具という側面を大切にしてきた一面、芸術性というと、多くの技能士の方を見てきましたが、芸術的側面で生き残られる技能士は何割、いや数パーセント、いや数人かも知れません。

それほど技能士の方の切磋琢磨の場も減り、熟練者の高齢化は印章の芸術分野を残すことを難しくしていると思います。

ハッキリ言いますと、技術が継承されていないということです。

その点を喧しく言ってきたつもりなのですが、今からどうのこうのということは無いであろうと思います。

そういう点では、技能士としてのというより、職人としてのきちんとした伝承を怠ってきた・・・これは組織の問題のみではなく、技能士自身の問題も大きくあると思います。

技能検定継続が本当に大切だと思われている方(技能士も含めて)がどのくらいおられるかが、来春の技能検定を100名以上の受検者でむかえようとする取り組みの中から、私には見えてきたものもあります。

それは良き面、悪しき面の両方ですが、それを踏まえて、業界内部からではなく、それをきちんと伝えるために、業界を飛び出して、学び広めたいと考えています。

あなた様のご愛用の1級技能士の印章が大きな宣伝物となることを応援できるように頑張ります。」

 

返信を終えてからも、いろんな事を考えさせられました。

嘗て10人ぐらいで1人の高齢者を支えていましたが、今や2人で1人の高齢者を支えています。

このままでいけば、2050年には1人が1人の高齢者を支えなければなりません。

それと同様にと言うわけではありませんが、伝統や伝統技術、それに伴う組織や団体を少数の人が引き受けなければならない時代が到来することと思います。いや、もうその芽はいたるところで出ては叩かれている(隠されている)ようにも思います。

支える人に過重負担があるということは、それだけ継承の土壌が日照り続きで養分が無くなってきていると考えます。

だから、頂いたコメントにも一理あるし、私の返信にも理はあるのです。

しかしながら、誰が悪いということをいっているのではなく、連綿と無視しつづけてきた技術継承を表舞台に出さねばなりません。

それは、今の印章業界では難しいことと悟りました。(少し呆れ、嫌になってきたというところもあります。)

では、どういう風にすればよいかを業界の外から眺める機会を頂きたいと強く考えるように変わってきている自分を感じています。

子どもの運動会より大印展の裏方や講習会運営に努めてきました。

(今はその子らも独り立ちしています。)

そのお蔭で、技術継承という問題をずっと考え続ける事が出来てきました。

しかし、それらは後10年くらいの私の活動期間を狭めることに今はなってきています。

もう少し頑張るためにも、少し距離を置いて考えたく思います。

 

posted: 2021年 9月 19日