己を表す

昨夜のNHK BSP『美の壺』の「己を表す はんこ」は興味深く見させて頂きました。

仏足石などの世界の印章を集められた小田玉瑛さんのお話を聞いていると、西域などを旅された印章研究のお話をよくしてくださった京都の故山川宏造先生を思い出しました。

『美の壺』のこの企画は、印章を「己を表す」として下さったところに、ハンコレスになりかけている現代社会にとって大きな意味があったと思います。

印章の本義は、いろいろな表現があるでしょうが、この「己を表す」という事だろうと私も思います。

それに付随して頭に浮かんだ言葉があります。

それは、千利休の規矩(きく)作法「守りつくして 破るとも 離るるとても 本(もと)を忘るな」という俗に「守破離」といわれている言葉です。

時代と共に変化を許容することは「生き延びる」ということでは、大切な事かも知れません。

しかしながら本(もと)を忘れてはならないと強く思います。

 

最近、技術講習会に専念するために、他を断捨離した私ですが、利休が残したもう一つの言葉を実感しています。

「稽古とは 一より習ひ 十を知り 十よりかへる もとのその一」と。

技能士になれたとか、競技会で大臣賞を頂いたとか、その上はとか、そういう事よりも大切な事は、基本に立ち返るということだと、先日の技術講習会の参考作品を作りながら思いました。

「本(もと)を忘るな」・・・一生稽古です。

久しぶりの小篆の角印・・・作品としては、おそらく10年ぶりに作製いたしました。(印文は、「和顔愛語」です。)

今後も続けるために、自分に縛りをかけるために、写真をアップしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

※写真のお花は、和歌山から大阪に来ている八百屋さんから家内が買って店に活けてくれました。

 

 

 

 

 

 

posted: 2022年 5月 21日