大切なのは何で繋がるか
蟻地獄蟻を落して見届けず
【作者】延寿寺富美

印章で繋がってきた私には、印章しかなかったように思う。寝ても印章、覚めても印章。いろんな印章に携わる人、印章人にお世話になったり、学んだりしてきた。だから、後進にも同じようにと奮闘してきたつもりであった。しかし、コロナ禍を通して、少し疲れてきた。老化かなとも思うが、最近、考える角度を少し変えてみようと考え始めた。
世の印章は、私が生きる力となった印章ばかりではない。とりわけ今は、「おもしろいハンコ」や「オリジナルなハンコ」が出回っている。デザイン業界からあぶれた方がデザインするハンコ、キャラクターが中心となり文字は脇役となったハンコ、開運を付加価値にした技術者のハンコ・・・いろいろ出回っているが、繋がりたいハンコではない。逆に、それらとは繋がりたくない。しんどい。それを無理に「印章」という名においてどうしても繋がらないといけないのだろうか?
きちんとした印章
すがたの美しい印章
「きちんとした」や「すがたの美しい」で繋がる方が、自分らしく思える。生き生きとできるような気がしてきた。
きちんとした
すがたの美しい
は、工藝である。
「コロナ禍」と言われた時期以降、本当の意味での精神性のある工藝で繋がりたいと渇望する自分を発見する再発見する旅であったのかも知れない。
三度の個展やクラファン、他業種やデザイン業界の方、工藝家との出会いを通して今があります。
勿論、きちんとした印章人とのお付き合いまで捨て去るつもりはありませんが、これからは哲学(精神性)をきちんと持つ工藝家らとのお付き合いを多く持ち、「きちんとした」や「すがたの美しい」ということを大切に仕事していきたいと強く思います。
印章需要の減少で手を動かせることが以前より少なくなっています。これからの職人人生はあとどのくらいあるのだろう?あと10年は欲しいというのが希望ですが、5年かも知れません。その年数は生きて何となく仕事をしているという年数ではなく、きちんとした印章をお客様にお渡しできる年数です。今、手を動かせ切れていない自分を、自分自身をもったいなく感じています。手をきちんと動かせる日を作り続けるために頑張ります!・・・今日8月30日、第13回の全日本印章業協会の総会の日、13年間続けさせて頂いた技術委員を辞任する日、「きちんとした」や「すがたの美しい」を大切にする人達との繋がりをより強固にしていくための出発日
posted: 2025年 8月 30日
