AIとおんぼろ頭脳
遠くまで行く秋風とすこし行く
【作者】矢島渚男

私の仕事・・・
- デザインを目を通して、頭(脳)の中に画像を置く
- その画像を頭の中の鏡を使い、鏡映(左右反転)させる
- それを手で印面に写す
それの繰り返しが、私の仕事です。
目と頭と手が連動していて、その繰り返しの訓練を修業といいます。
ノウハウは、上の1・2・3ですが、ノウハウのみでは仕事ができません。
この繰り返しが、実はとても大切なのです。
デザインありきで書きましたが、このデザインも1・2・3の繰り返しにより頭のなかにデーターとして蓄積されていきます。それを経験といいます。
AIが仕事をしてくれるなら、このデータベースを表現してくれるなら唯一無二という印章にとっての致命的な問題は解決されます。
ところが、一文字一文字をフォント化するだけのデータベースを経験のない者が画面上において表現していくと、それは同型印の作製に繋がってしまい、唯一無二の約束ができません。
「印章彫刻機の使い方」というノウハウを学んで、修業経験のない者が唯一無二を目指して、画面上のフォントを触り、それを「デザイン」と呼び表現されるとしても、きちんと経験を学んだAIには勝てませんし、美とは縁遠い実用という名だけの代物になるでしょう。
1・2・3の繰り返し、何万回もの繰り返しは、個人の頭の中のデータベースです。しかし、それは単独で成立しているのではなく、他のいろいろな感性と頭の中で交流して進化していきます。
先人・先輩の知恵や経験を個人の頭が学んでいるからです。それと共に、職人道徳も蓄積され影響していきます。それがAIという人工頭脳とおんぼろだけど生きて奮闘している人の頭脳との違いではないだろうか。

昨日、京都の個展で初めてお会いした森川佳宥(佳甫)さんにご案内を頂いた刻字の作品展を観に行きました。明日は奈良にお勉強に行きます。おんぼろ頭脳を鍛えに参ります。

