仕上げ刀と共に

大丈夫づくめの話亀が鳴く

【作者】永井龍男

 

 

先延ばしにしていた事項を昨日片づけました。

仕上げ刀(判差)の柄を外して、柄から先の部分を長くとるという作業をしました。本来、とても面倒くさがり屋の私です。しかし、柄から先の部分が短くなりすぎると砥ぎの作業がやりにくく、そう効率的ではありませんので、重い腰を上げました。合理的かつ効率的な在り方が時短であり生産性優先の在り方だとすると、職人の作業は非効率的なのかもしれませんが、柄から刃先までの距離を自分のスタンスできちんととるのは、仕上げ刀を砥ぎやすくするためです。それは仕事を早くするためというよりは、切れる仕上げ刀をつくって仕事に向かい、良き仕事をするということにつながる効率であります。効率的な作業ということと、効率的な仕事はそれを捉える視点が違うのです。

刀身から柄を外して気が付いたのですが、鋼が付いている部分が短くなってきています。

 

 

刃付けをすることができるのが、言い換えれば、この仕上げ刀で仕事ができるのが、後10年くらいかなと思います。仕事量の減少から考えると、プラス3年くらい追加されるかもしれませんが、75歳を最終地点で考えると、後9年の仕事となりますので、この仕上げ刀を大切に使おうと思いました。この仕上げ刀は、東村山の名工の作で、当時一振り1万5千円でした。2万円のものも持っているのですが、どうも今のものと相性がよく、それを使い続けています。

作業のついでに、刃付け角度を変えました。荒砥から砥ぎ直すと、名工の作は硬さが違うのが手にひしひしと伝わってきて、半日仕事となりました。良き仕上げ刀となり、印面に向かう愉しみがまた一つ増えました。

 

 

posted: 2026年 2月 18日