Q12,自分で文字をデザインして印鑑登録してはダメですか?

質問:デザインの仕事をしているのですが、どうもハンコの書体に満足できません。

自分でデザインしたものをハンコ屋さんに彫ってもらって印鑑登録してはいけませんか?

解答:今までは、デザインのお仕事をされている人でも、ハンコにそれだけの価値を求められる方は多くはありませんでした。

嘗ては新聞や雑誌の通販やテレビショッピングで、今はネットショップで宣伝されている縁起の良い?いいハンコ?・・・輪郭円の中に太いミミズがのたうちまわっているようなものという書体、印相体や吉相体と呼ばれる開運書体?が一般的な書体で、そこにデザイン性や文字の美はありません。

ハンコなど、捺せればよい・・・そこにデザイン性や美を求めるものではない

かといって、通常フォントにある可読性の高すぎる(読みやすい)書体・・・楷書や行書・・・を印鑑登録するには少しの抵抗がある。

仕方がないので、ハンコには自分のポリシーである美は持ち込まないというデザインナーさんがほとんどでした。

閉鎖的で不思議なハンコの書体にデザイナーが口をはさむ余地が今まではありませんでした。

ところがハンコの書体(篆書体や印相体)もフォントになり身近に感じられると、そのデザイン性に疑問を感じても何らおかしいことではありません。

その辺の勉強もせずに、フォントをそのまま使用して、機械で彫刻している業者が多いことは事実であり、デザイン関係者にも周知の事実であります。

色々な文字のデザインを日常されているデザイナーの方が、あの不思議な美とは縁遠い書体ばかりのハンコ屋さんのハンコを自分の実印にしたくないと感じられて当然であります。

ただそういうハンコ屋さんばかりでなく、日常的に文字に対しての研鑽をつみ自らの経験を活かし、オリジナルの印章開発に懸命なハンコ屋さんもあります。

ただ、オリジナルの印章といっても、猫や犬の形に文字を閉じ込めたデザインや、文字とは関係ないイラストや文様をオリジナルと呼んだりしているのではなく、とりわけ篆書の研究をされているハンコ屋さんの美とデザイナーさん自身の美とのシンパシーが繋がることと信じます。

餅は餅屋と言います。

ハンコ屋さんもまだまだとは言いにくいのですが、今現在ならデザイナーさんのお眼鏡にかなうハンコ屋さんもあろうかと思います。

 

posted: 2014年 8月 10日