6月の綺麗な風

六月を奇麗な風の吹くことよ
【作者】正岡子規

今日は大安吉日。
ここのところ、随分と印章業界の問題指摘ばかりしているような気がします。
良き日には、少しでも前向きになれる話もしたいと思います。
以前にも紹介させていただいた『2019 中印連 競技大会』の締め切りの7月10日(消印有効)が迫ってきています。


大印技術講習会でも多くの方が出品意欲を持ち取り組んでいます。
PC彫刻機の使用を可としたことにより、裾野は広がっているようです。
しかしPC彫刻機をフォント使用のみで出品したのでは、意味がありません。
何ら勉強にならずに、出品するだけで終わってしまいます。
大印技術講習会の、とりわけ基本科の講習生は何度も何度も印稿(はんこのデザイン)を書いては、指摘を受け、書き直しを繰り返しています。
PC彫刻機で彫り、手仕上げするのですから、本当に文字の選択やレイアウトが重要になって来ます。
それを繰り返している内に、文字の上がり下がりや左右への一方的な寄り、文字の大小、偏と旁のバランスの理解が少しずつ深まっていきます。
最初に書かれたものと比較すると大きな差ができ、良くなったという事が自覚出来ます。
そして、何より一番大切なことは、その課題の文字においてだけではなく、どんなお名前でも、どのような課題でも次にも繋がるようになるということです。
自らの頭で考え、何故そうなっているのかを指摘して直すようにすることが大切です。
名人上手な人の印稿を手に入れて、それを彫刻しても、それで何かの賞をもらえたとしても、次には繋がらない、別の課題になると、また人の知恵を貰わないとできない・・・それの繰り返しになります。

何度も自分の頭で考え、先輩先生の意見を伺い、やり直して良きモノをつくる。
専門性を持つという事は、そういう事の積み重ねではないでしょうか。
嘗ての印章業界には、自らが彫刻しない経営者でも専門性をもっていた方が多くおられました。
あっ!また問題指摘になりそうなので、これは言及せずに置きます。

きちんとした印章を販売するという事は、必ずしも手彫りであるとか、名人名工の作品、高級印章というのではなく、この専門性を培うこと、さらには専門的技術を高めていくことにあると私は思います。
ガンバレ!中印連技術大会出品者のみなさん。
みなさんの周りに6月の綺麗な風が吹きますように。

posted: 2019年 6月 21日