印章の顔は印面です。

母の日の常のままなる夕餉かな
【作者】小沢昭一

昨夜は、「大印展中止」のお知らせを出品者の皆様にお届けするために、久しぶりに集まれる技術委員が集合しました。
大印展の中止は致し方がない状況なのですが、技術委員長より代替事業として技術継承の為に何かしようという案が提案され、大まかな骨格が出来ました。
久しぶりな寄合でした。
ラインでの文章会話より、きちんと会って話ができて良かったと思います。

印章の技術のことを進めていかないと、印章を社会悪と捉えるキャンペーンのような事象は、このコロナショックを利用してドンドンと進行し、消費者の思考に、社会の在り方に大きな影響を与えています。

着物業界のヒトが、「さらば、着物。」とテレビから突然、洋服業界のコマーシャルがあれば、どのように思うでしょうか。
和菓子屋さんが「さらば、和菓子。」というコマーシャルを見ればどういう気持ちになるでしょうか。
昨夜、組合事務所から帰り、夕食を食べながらテレビを見ていると、俳優さんを起用したテレビコマーシャルで、その俳優さんの顔をしたハンコに俳優さんが「さらば、ハンコ。」と・・・
コロナ以前からクラウドサインのCMは、ありましたが、さらばと言われるとインパクトがありますね。
思ったのですが、印面は、面は「つら」です。
つらは、顔、貌、かおです。
印章本体の側面ではありませんが、今まで印章業界は印章の顔、「つら」を大切にしてきたのでしょうか。
「つら」は、印面・・・印面は、彫刻技術を以って成り立ちます。
それがなければ、ただの棒です。

先日もお知らせいたしましたように、国(厚労省)は印章の技能検定を廃止する検討会の報告書の中で、「 本来印章は手で彫ることにより唯一無二性をもち、それが個人を特定するカギとなるが、文字フォントを利用して印材に文字を彫る機械彫刻も可能なため、安さ、速さを売りとする商売の形で、彫刻技術がなくても印章業を営むことができる上、技能検定の資格取得が営業の必要条件となっていないため、取得に対する意識を向上させることが難しい面がある。」として、「国家検定である技能検定が廃止になれば、印章業界の技能の継承が難しいものとなると共に、印章業界の衰退に繋がってしまうとかんがえられる。」と結論付けています。

印章の「つら」を印面を、印章技術を空白にさせてはいけない時期です。
業界団体が、様子を見ながら大人な態度で対応しようとしていることは、理解できますが、このままでは、真面目に商売をされている業界の人達が不安に思うのは当然のことだと思います。
何らかの対応を業界内部にではなく、社会に向けていち早くして頂きたいと強く希望します。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000044347.html

posted: 2020年 5月 10日