継承の規範

昨日、長崎平和式典に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長メッセージ(中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表が代読)をテレビで聞いていて、「私たちは、核実験に反対する規範を擁護しなければなりません。」という一文に考えさせられました。

今年で75回を迎える広島や長崎の平和式典であります。

被爆者約13万6000人で最少となり、平均83.31歳と高齢化が進んでいます。

しかしながら、被爆継承をしてきた多くの先人の意志を継いで、「核実験に反対する規範」を確立してきています。

 

印章業界にこの規範なるものは存在するのでしょうか。

嘗ては、何度も話してきました『印章憲章』がそうでありました。

しかし、それを実践、具現化されてきたのでしょうか。

私には、絵に描いた餅、長文スローガン倒れとしか認識されません。

『印章憲章』を掲げている(公社)全日本印章業協会の会員さえ、それを規範として認識されていない方が多いように思います。

デジタルガバメント問題に対応する業界の姿勢がそれを如実に物語っているのではないでしょうか。

デジタルとアナログは対立するもので、共存共栄するものではないと思います。

IT業界と印章業界、これから伸びる業界はどちらでしょう。

アナログの陣地を無くして、それをデジタル化していくから商売になります。

総務省は1000億の経済効果を予測しています。

デジタルの陣地にアナログを残すはずなどありません。

印影をデジタル化するという話もあります。

どういう印影をデジタル化するのでしょうか。

フォントを丸や四角の中に加工したものをデジタル化するのでしょうか?

そこに印章の本義は残るのでしょうか?

ペーパに捺印しているパソコン印章やフォント印章には、同型印の危険性をはらみ、それに規範を示すことが出来なかった印章業界にデジタルの中に規範を作り、それを順守できるでしょうか?

デジタル推進側にはそれは関係なく、今までの慣習としての印影は使用しやすいので「電子印鑑」という言葉を電子認証のなかに、意図的に残していますが、そうする必要性もなく、デジタル化が進行していく中で、その規範無き状況は消し去られていく事と推察致します。

デジタル推進派は、アナログであるはずの印章業界に宣戦布告をしていますが、印章業界は握手を差し出しています。

何故、面と向かって対応されないのでしょうか?

アナログの陣地を無くしてデジタル化して商売をもくろんでいる人達に握手を差し出して何を得ようとしているのかなと疑問を持ちます。

彼らは、このコロナ禍においても着実に会議をこなし、政治と法律の整備を進めて来春を目指しています。

その一方で、技術の継承現場はコロナ禍で疲弊の一途を辿っています。

 

国連事務総長のメッセージで、はたと気づいたのですが、技術継承の規範無き業界に、今求められているのは「継承の規範」なのかも知れません。

http://www.inshou.or.jp/inshou/about/inshoukensyo.html

 

posted: 2020年 8月 10日