技術継承の場づくり
毎日新聞7月10日付の「大学生就活」というコーナーでのお話です。
大工の養成のため、全国の工務店と提携して、伝統的な木造建築の技術継承を目指す「大工育成塾」(本部・東京)についての記事です。
大手住宅メーカーの台頭や機械化された工法の普及により就業者が激減する中、ノコギリとカンナで現場で修行を積み、腕を磨く大学建築学科中退の若者や大手住宅メーカーを辞め大工の父親のもとへ帰った若者が紹介されています。
そういう若者の受け皿として、「昔ながらの技術を持つ大工をゼロにしてはいけない」と育成塾を立ち上げた。
東京、名古屋、大阪、福岡で月1回の講義を受講しながら、工務店で修行を積むというものです。
この記事を読みながら、印章業界と現状はそっくりだ。
伝統的な手彫り技術を有する職人が、実質的に減少傾向だ。
ただ、このような全国的な育成塾はない。
訓練校や大きな都市に技術講習会はあるが、バラバラであり全国的な共通性や技術交流がない。
職人の悪しき領域主義があり不可侵的であります。
業界の組合組織率も低下する中、この領域主義ではおそらくやっていけないであろうし、人数が減っているのだから却って全国統一的な育成塾的なスクール組織にした方が合理的であり技の継承も経験交流もやりやすいと考えます。
また、大工だけではなくこのようなあり方に変えている業態も多いと聞き及んでいます。
技の継承を真剣に議論するなら早急なる方向性を持った方がと考えますが・・・。
昨年、公益法人化した組織ですので教育、継承、啓発を大きな柱に出来ると考えます。極論すれば、これのみでよいとさえ思います。
何故ならば、ハンコの重要性や、印鑑登録制度を守ることを千遍となえても、その仕事をする職人が一人もいなくなれば、パソコン型彫刻機が印章彫刻士になった時、実用印章は自然消滅し、印章全てがなくなる日を提示します。
これからが模索ではありますが、少しずつでもありますが、良き芽が出つつあるようにも聞き及んでおります。
京都のFB友達の記事のなかに、昨年の技術検定の勉強会をきっかけに昨日、技術講習会が組合主催で立ち上がったというのを見ました。
また、広島、北九州でもその芽が育ちつつあります。
将来像をその教育、継承、啓発に置きつつ、良き芽が発展するように水を与え続けることが私の役割と考えています。
構想と案というビタミン入りの水はダムがあふれるほどあります。
posted: 2013年 7月 11日