デザイン力を問う!

昨日、近畿のはんこ屋さんの総会での資料入れとなっていたカバンのデザインについてご紹介したところ多くの「いいね!」を頂きました。

作者のI間先生(講習会篆刻講師)も大変喜んでおられブログにもアップされていました。

素敵なエコバックとか販売していたら欲しい!というコメントを頂きました。

これって、デザイン力ですね。

生成り色のどこにでもある手提げかばんに、I間先生の鹿を篆刻的にデザインしたものをプリントしてあるだけなのです。

多くの「いいね!」という評価が頂けるのは、その鹿のデザインなのです。

印鑑もそうです。

同じ材料に彫刻されている文字の美やそのレイアウトという総合的なデザインによって、価値が変わるのです。そう、上手なデザイン力の人やお店の印鑑が良い印鑑なのです。

高価な象牙の印材に、上手なデザインの職人というデザイナーの彫刻を施すのか、パソコンソフトの文字をきちんとレイアウトもせずに、ただ同じサイズの文字を同じ面積に並べただけのものを彫刻機にかけるのか・・・・あなたは、どちらの印鑑を信を示す宝器として一生を共にしますか。

エコバックなら、汚れたりまた素敵なデザインのものを見つければそれに変えればよいのですが、印鑑ましてや実印はそういうわけにいきません。

鹿の手提げかばんをデザインしたI間先生も2作目でOKをもらえたとのこと、デザインは採用されるものと没になるもの・・・印鑑のデザインでいえば、ラフスケッチや印稿を何枚も書いたりと・・・そうデザインは自分の現在もてる技術を集中して試行錯誤の末に出来上がります。

大印展や競技会という印章業界の腕比べコンテストに出品される方は、恐らくその試行錯誤がよく分かると思います。

また、一般の書道展や美術展でも同じであります。何枚も書き込み、これでもかと出品ギリギリまで悪戦苦闘し、最高のものを出品されることでしょう。

本来お客様にお渡しする商品をこうすべきですが、これをしないはんこ職人が多いことは事実です。

時間がない・・・私もそうでしたが、それは発想の転換によって変わります。

良い商品・・・私の場合は印章をお客様にお渡しするには時間がかかるものです。ですから良い印鑑とは、そのデザインにいかに時間をかけたかなのです。

時間をかけたデザインをデザイナーが作成すれば、ロゴデザインだけで数十万円~数百万円です。この間、お話ししたピー紺のピースと言うタバコパッケージのデザインは数千万円です。

ところがハンコ職人がいくらデザインに時間をかけても、それに対する評価ではなく、印材に彫刻するということに対価を払うということになり、印材+彫刻代という商品となり、デザインという概念やデザイナーとは大きな隔たりを生じています。

それは、そのこと自体を情報としてきちんと消費者に発信してこなかったからだと思いますし、今もなされていません。

良いハンコ=手彫り・・・そういう発想だけでは、はんこ職人の古今の努力は、消費者には何ら伝わりません。何を手彫りしているかです。

それは、印章と言うデザインでしょう。

 

 

posted: 2013年 6月 26日