三田村印章店がTシャツを販売する理由(その1)

【三田村印章店がTシャツを販売する理由(その1)】

 

ブログやフェイスブック、インスタグラムを通じて、いろいろな業種の職人さんや工芸の作家さん、芸術家の方々とお知り合いになりました。

その方々の多くは、ご自身のお客様の為に作製された作品や商品を発信されています。

大工さんや設計士さんは、ご自分が作った家や建築物を写真で示されています。

陶芸家は花器や茶碗を、華道家やフラワーアレンジメントの作家さんは、花器に花を活けた作品を、写真家はもちろん写真を、書家は書作品を、根付職人は、着物につけられた根付を綺麗に写真にとられています。

自らが精魂込めてつくられた作品を発信されて、とても羨ましく思っておりました。

私の作品は、展覧会や競技会への出品作品以外は発信できません。

印面が私の作品ですが、同時にお客様の個人情報でもあり、けっして公開を許されない物なのです。

ここに印章技術が消費者のみなさんに伝わりにくいという理由の一つがあると考えられます。

絵や書、写真などの作品に対して、自らの嗜好が出来るくらいに身の周りに溢れています。

その分、鑑識眼が養われ、見る目も肥えておられる方が多くおられます。

ところが、印章の印影はどうでしょうか?

書や絵の落款印としては、目にされることもあるでしょうが、他人の銀行印や実印をじっと見ていると、契約の時は別にして、常識を疑われます。

それと多くを見て、見比べる事はありません。

業界外での実印の展覧会などは聞いたこともありません。

赤い小さな丸のなかに名前が入っている・・・そこに美などあると思っている人は少ないと思います。

捺せて写れば、印章の役割は済む、そこに美をシェアすることは考えない。

印章業界の中でさえ、篆刻は芸術作品だけど、実用印章には芸術性や美などを求めることなどありえないとされているのが、ごく普通であります。

ご自身の技術力や芸術性を発信したい人は、篆刻芸術や書家としての道を歩まれ、それを発信される方が多いように思います。

しかし、それが実用印章の美の発信に力を添えているとは思えません。

そこで、私の実用印章作製のデザイン技術を表現したのが、今回の企画「HANKO KIAN」となりました。

写真の文章は、家内が考えたものです。

ご一読いただくと幸いです。

posted: 2020年 9月 2日