「右利き社会」と「はんこ社会」

秋霖や右利き社会に諾へり

【作者】大塚千光史

 

通勤途上で足元がずぶ濡れとなりました。

ビルの空は暗く、重い雨が降り続いています。

 

上の句を見て、明石家電視台に「左利き」のテーマで出演させて頂いたことを思い出しました。

今は子どもの教育に悪いからと、左利きを直す親がいなくなり、左利き用のハサミやグッズも販売されていて、左利きもそう珍しいものではなくなったように思います。

しかし、人口の一割しかいないのが左利きですので、右利き社会になるのは当たり前です。

印章も貴重な一割の存在となりつつあります。

イケイケドンドンと大量生産、大量消費されてきた「はんこ社会」が崩壊しようとしています。

これに対する継承は、10年前からブログ等を通じて発信し、提言も数少ないですがさせてもらいました。

しかし、やはり印章は冬の時代を迎えたのだと実感しております。

印章業界にとっては、ピンチだと思うのですが、わりと平々凡々と業界人がされているのを見ると、もうすでに次の一手は打ったのか、諦めたのか、あるいは既に印章を商わない印章業となり果てていたのかの何れかなと思います。

「ピンチはチャンスだ!」と家内は「HANKO KIAN®」を打ち出そうと頑張っています。

技術のみで生きている者は、しょんぼりはしていられません。

はんこのニュースが、印章を宣伝してくれています。

国の二人の大臣が「はんこを無くします」と言い切っています。

パソコンで作製されるオモチャのようなハンコは、そういう意味ではなくなり、職人が熟練の技術で作製する本物の印章がクローズアップされる時代に突入していけるように、舵取りをしっかりとしなければなりません。

偽の印影をデジタルに残そうとしても、既製の認印を大量に販売する努力と等しくなり、誰もそこに注力しないでしょう。

時折、左利きが話題になるように、1割の需要を真剣に考えていかないと、印章は冬の時代から氷河期に突入すること然りであります。

posted: 2020年 9月 25日