風立ちぬ

今年岡山の企業に就職した次男がお盆休みを利用して帰省。

アニメオタク(?)同士でジブリ映画「風立ちぬ」を見に行きました。

堀辰雄の同名小説のイメージを持ち、今回はあまり雑音(予備知識)を入れずに、久しぶりの映画鑑賞となりました。

ある設計の仕事に携わった次男ですが、負けじと私も印章を彫刻する仕事です。モノづくり同士、少なからず共感するところがあったのかな・・・。

 

堀辰夫的恋愛小説と戦争と平和問題はさておいて、堀越二郎という零戦設計技師としての側面から感想を記したいと思います。

一番記憶に残ったのは、作品全体を通して、二郎が夢の中で出会う航空機設計技師の大先輩カプローニから何度か呼びかけられる「力を尽くしているかね」「まだ風が吹いているかね」という言葉を通じて、モノづくりの在り方やモノづくりを実行し続けるアイデンティティーを感じたことです。

そのモノづくりが愛おしくて生涯をかけて続けられるものか。

そして、今その仕事に向き合い、全力を出しているのか。

カプローニであったか、菜穂子(ヒロイン)が静養に来ていたホテルでの謎の異国の紳士が言ったかを忘れましたが、「モノづくりはセンスである。技術は後からついてくる。そしてそのセンスで全力を出せる期間は、たかだか10年である。」

なんとなく納得のいく言葉でありました。

勿論10年でモノづくりが完了するわけはありません。

基本的な技術や知識の習得、そして自分らしさを発揮し始め、本物のオリジナリティーをみせることがでるようになり、人様にそれを提示できるようになり、それから10年と言うことだと思います。

その10年を如何に発揮できるかが、モノづくりをしている人(エンジニアでもよいし、職人でもよい)の明暗になるのだと思います。

中途半端でもいけないし、自惚れてその時期を間違えてもいけません。

10年と言う言葉・・・大切に考えたいと思いました。

 

映画の鑑賞後、藤本胤峯先生の魂を供養しているお寺の参拝を終え、汗びっしょりになった二人のモノづくりをしている人は、黙々と鰻を食して生ビールと冷酒を飲み帰りましたとさ。

 

THE END。

 

 

posted: 2013年 8月 16日