鯖の骨の美

<鯖の骨に感動できる心>

お盆に帰省していた次男と共にジブリ映画「風立ちぬ」を見に行きました。

感想は以前にも記しましたが、どうしてももう一件。
主人公の堀越二郎は、定食屋さんで食べている鯖定食の鯖の骨を箸でとり、
同級生にうっとりと語ります。
「美しいだろう!すばらしい曲線だと思わないか。」

 

この曲線美に感動する心が後の零戦を設計する力になりました。

曲線美・・・アールに見せられるということは、人の美意識に差があるように少しずつ違います。

印章においても、篆書のなかでも小篆体は微妙なアールが人の美をくすぐります。嫌味なアールやくどいアールは、逆に全体から美を奪います。

何気ない膨らみや、引き締まりの中にこのアールが効果的に使用された時、それは気品ある印章を形作ります。

 

では、何が気品あるアールなのでしょうか?

残念ながら言葉では説明できないのです。

星空を見つめながら、その山の端のおだやかなる曲線に魅入られた少年時代の記憶やお寺での鬼ごっこの時に、何気なく見上げたお寺の屋根のアールに美を感じる心の積み重ねなのです。

天性と呼ぶこともできるかもしれませんが、私は鯖の骨の曲線に美を感じられる心を養うことも大切な職人修行かとこの映画から考えさせられました。

 

 

posted: 2013年 8月 20日